(人)アニメに賭けた青春
俺の幼馴染にAと言う男がいた
Aとは小学校から高校の途中までずっと一緒の腐れ縁だったが
一年生の夏休みにAが突然高校を辞めてからずっと疎遠になっていた
高校を卒業して東京の専門学校に通い始めた俺はある日中野駅近くで偶然Aと再会した
久しぶりに見たAはいつの間にか一回り大きな体になっていて
俺は声を掛けられるまでその男がAだとは全く気付かなかった
こんな所で偶然出会った俺に余程興奮したのかAは自分の近況を一気に話し始めた
要約するとAはお気に入りのアニメグッズを買いにブロードウェイにわざわざ買いに来たらしい
別の友人と一緒だった俺は苦々しくAの話を聞いて用事があるから、と適当にいなしてAと別れた
「へー、あんなオタクと友達なんだ?」
と友人にからかわれる位Aはガッツリまんまな格好をしていたのを今でも思い出す
学校も休みに入り実家に帰省した俺は地元の友人からAの訃報を聞く事になった
話によるとAはアニメに没頭する余り只でさえ病弱な質だったのに全国を回って限定グッズを買い漁っていたらしい
Aは高校を中退してからは夜間学校に通い昼間はグッズ漁りの日々を送っていたが
ある日出先で赤信号で飛び出し車に轢かれて死んだそうだ
アニメに命を賭けるのは悪い事だとは思わないが親御さん悲しませちゃダメだろ…
友人とAの墓に参って線香をあげた時に窘めた




