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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(謎)どんど焼き


最近住民の声が煩くなって地域の年中行事がどんどん消滅・縮小している


そんな消滅した行事の中に「どんど焼き」がある

親父の実家の方では数少ないビック(?)イベントの1つで俺が小さい頃には結構客も出ていた記憶がある


記憶が曖昧だが小学校高学年~中1位の事だったと思う


当時から過疎っていた実家周辺では若いマンパワー(?)が不足していて

何故か俺もどんど焼きの準備にかり出されるという理不尽な年があった


親父の鶴の一声に拒否権など当然なくドナドナされ現地に向かうとその年は例年とは規模が違った


数年に一回位しか参加した事はなかったがそれと比べてもどんど焼きのメインとなる藁の櫓が巨大になっていたのだ


「…何かでかくね?」


多分こんな事を口に出したと思う


同い年の従兄弟がそれについて説明してくれた


「あー、何か町内会の誰かが何処かのどんど焼きの壮大さに感動して真似したんだってさ」


こんな答えを貰って内心


(主義主張はねぇのかよ…)


みたいな愚痴を抱いたのだけは覚えている


まぁ人手と言っても塔に近い櫓や構造部はガキだから手伝う事は許されず専ら軽トラで運んで来た藁を櫓近くに降ろす作業を延々とやらされ何とか無事形になった


例年だと近くにある神社の社務所で大人達は酒盛りをしていたのだが

その年は折角だから、と出来上がった藁の塔の中で酒盛りをしていた


どんど焼き当日、いつもより盛大な催しは噂を呼んで例年以上の賑わいをみせた


特に巨大な藁の塔に火がついた時には歓声が上がり手伝った俺達も何となく達成感に包まれた


藁の塔は巨大な火柱となりやがて焼け落ちる

その時ちょっとした事故が起こった


組み方が悪かったのか立ち入り制限が甘かったのか、焼け落ちて崩れた櫓が見ていた客の近くを直撃したのだ


歓声から一気に悲鳴にかわる現場、逃げ惑う観客、慌てる執行部

修羅場と化した現場はちょっと洒落にならない位ヤバかった


結果ギリギリ脳天直撃を免れた客数名が足や腕に軽い打撲や火傷を負った程度で死者は出なかったのだが

翌年以降からどんど焼きは中止に追い込まれた


後日談は結構大人になって聞いたのだが結局執行部では「言い出しっぺは誰だ!」と犯人探しになったらしいのだが


町内会の執行部の誰1人として言い出しっぺが誰だったか?を覚えていなかったそうだ


酒宴の席ならまだ分かるが町内の催しの集会ではお茶位しか出ないのに皆覚えていない、というのも変な話である


結局犯人(?)はうやむやのままどんど焼き自体の中止で幕引きとなったのだが


何故その年に限ってそんな規模に拡大したのか、そして何故提案されたからと言って例年の習わしを変更してまで巨大化する意見を採用したのか

その真実は闇の中である

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