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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(事件)釣り


家の近くの川には時々鮎釣りをしたりしている人がいる


個人的に釣りに興味がないので(そんなんで釣れるの?)と思うシチュエーションで釣りをしている人もたまに見かけるのだが


「橋の上から釣ってる」


人も時折見かける


まぁこれも特段珍しい光景ではないので(あー、釣ってるなぁ)位で通り過ぎているのだが


ある日そんな釣り人が大物を釣り上げ話題になった


「水死体」


死因は何か忘れたが上流から流れて来た死体を見事橋の上からヒットしてしまったらしい


この話題は地元の新聞に載る程だったらしいのだが俺はソコに興味を抱かなかった


それよりも


鮎釣りの釣り人は川の中に入って釣りをしている


水死体はそういう釣り人の前を流れて最後に橋の上から糸を垂らしていた釣り人に釣り上げられた訳だ


滔々と流れる死体の横で釣りを楽しんでいたそのシチュエーションにゾッとして

橋の釣り人の話題なんかどうでも良くなっていたのを覚えている


ーーーーーーーーー


少し短かったので釣りの話をもう1話。


知人に釣りが趣味な人がいた


彼は海釣りも川釣りも大好きで休みになるとあちこちに行っては釣りを楽しんでいた


時々俺にもお裾分けをくれていたのだがある年の秋口に向かった磯で急逝してしまった


寒暖差が激しい磯釣りで心筋梗塞を起こしたらしい、と後に聞いたが残された家族はさぞ無念だったのだろう


釣具を見ると思い出してしまう、と言う事で親しかった友人に釣具の形見分けをしたそうだ


中には故人が大切に、大切にしていた竿やルアーもあったのだが遺族にはその価値が分からない


俺にも、と言われたが釣りはしないので猫に小判だと謝辞した


そんなこんなで一周忌を迎え生前親しかった人達を呼んでの食事会を開く事になったそうで俺も呼ばれた


有志によって開かれた会には見慣れた人もそうでない人も混じっている


故人の奥さんも参加してくれたのだがその奥さんに数人が何かが入った箱を手渡しているのが目に入った


偶然その1人に知人が混じっていたので理由を聞くと


「○○さんが夢に出て来て返してくれって言うんだよ…」


とビックリする様な事を言われた


どうやら故人秘蔵のリールを形見分けして貰った数日後、故人が夢に出て来て返還を請われたそうだ


さっき数名手渡ししていた人達は同じ様に夢枕に故人が出て来て返してくれ、と言われたらしく


そんな人が数名いた事に体験した本人達がビックリしていたそうだ


奥さんは微妙な反応だったが


「夢枕に立つ位の品なのだから是非仏壇なりに供えてやって欲しい」


という知人達の言葉に負けて渋々受け取ったらしい


そんなに執着してたのか…

と思った迄は良かったのだが


釣りに一切興味のない遺族からしたらゴミが増えて困った、程度にしか思われないんだろうな


そう思うと俺も断捨離して身綺麗になってから逝った方が良いな、と思った一件だった

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