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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(霊)ギチギチ


普段大した体験をしていない俺も時にはヤバい!と思う場面に出くわす事もある


あれはまだ若気の至りで友人達の心霊スポット巡りに付き合っていた時の事


微妙に濁すが関東と東北の境目位にある神社に何か恐ろしいモノが出て遭遇すると祟られる!

という罰当たりな噂話を持ち込んだ友人を中心にいつものメンツが召集された


個人的にはわざわざそんなヤバい場所に自滅しに行きたくはなかったのだが友人の1人が俺か視えるのを知っていて

内緒にする代わりにそういうスポット巡りに付き合わされるという盟約(?)が勝手に決められていた為に

余程の理由がない限り嫌々付き合わされていたのだった


正直俺が行った所でお祓いが出来る訳でもないし役立たずだと思うのだが

友人からすると(最悪の状況)を避ける、という意味では使えるらしい


結局家迄迎えに来られて付き合わされる羽目になりワンボックスの後部座席に押し込まれた


途中コンビニで小休止を取りつつ目的地の神社へと到着する

ソコは民家とは少し離れた小山の上にある田舎だと普通にある神社っぽかった


あまり内容を聞かされていない俺は面倒臭がりながら社殿?へと続く長い階段を昇らされる


仲間達は何となく雰囲気に呑まれているのか普段よりも口数も少ない


「やっぱ雰囲気が違うな」

「憑かれたらヤバいな」


等と話す仲間達の後列で俺は久しぶりに(此処はヤバい…)と感じていた


普段「視え」てもあまり「聞こえ」ないのだが此処の神社の階段を昇り始めた時からずっと


「ギチギチ…ギチギチ…」


と何かモノを擦り合わせる様な音がずっと聞こえていたからだ


中段位まで昇ってはみたもののその音が段々大きく、と言うか何となく攻撃的に感じて来た俺は

仲間達に具合が悪いと言って階段を降りる事にした


すると俺を誘った友人も何かを察したのか看病するフリをして一緒に降りる事にしたらしい


2人で車に戻りとりあえず一服すると友人が俺に何か視えたのか?と訊ねてきたので


「視えはしなかったけど何かギチギチ?みたいな音がずっと聞こえて来てたよ」


と言ったら


「やっぱお前連れて来て良かった」


とか言われた


全く意味が分からずどういう事なのか問い質すと友人がその内容を話してくれた


この神社の林では何故か首吊りが多くて呪われてるんじゃないか?という噂と度胸試しに来た輩達数多くの心霊体験を経験したとかで有名になっていたらしい


まぁその真意は謎だけど音が聞こえ続けていたのは間違いなかったしもしかしたら憑かれていたかも知れない


そんな話をしていると社殿を見てきた他の仲間達がつまらなそうに戻って来た

結局何も見れずに帰って来たらしい


毎回思うのだが見えたり憑かれたりしたらそれが「成功」なのだろうか?

精神に異常を来したり連れていかれたりするかも知れないのにわざわざ巻き込まれに行く思考が分からなかった


帰り道の途中、腹が減ったので最寄りのファミレスで食事休憩を取る事にした


駐車場で車から降りると道路の反対側に神社が見えて風のせいで鳥居周辺に立てられた○○八幡宮とか書かれたのぼり旗がバタバタとはためいていた


その時さっきの神社で聞こえていた「ギチギチ…」という音の正体に気付いてしまった


あの音はきっと「縄と何か」が擦れて締まっていく音だ


そう気付いたら寒気が襲ってきた


その後はファミレスでも帰り道でもずっと気になって口数が更に減ってしまい

仲間達には心配されたが別に憑かれてる訳でもないので適当に誤魔化して彼らと別れた


もしあのまま社殿まで昇っていてら何かあったのかも知れない

危うきにわざわざ近寄らなくて良かった

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