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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(人)自販機


東京で独り暮らしをしていた頃の話。


深夜に帰宅しようが何しようが誰に注意される事もない生活を自由と履き違えていた独り暮らし歴数ヶ月のある日


友人達とどんちゃん騒ぎをした後千鳥足で我が家へと歩いていく

帰り道にある自販機の前に男性が1人立っているのが見てとれた


緩い坂になっている直線の道で結構前からその姿は見えていたのだが

途中からその男性の行動がどんどんおかしくなっていった


恐らくお金を入れて希望のボタンを押したのだろうが商品が出て来なかったらしく

初めはボタン連打したり取り出し口に手を突っ込んだりしていたのだがいよいよキレた様だ


何事かを怒鳴りながら自販機の正面を叩いたり側面を蹴りはじめたのだ


まぁ気持ちは分かるし経験が無かった訳ではないから(ご愁傷さま…)みないな気持ちで生ぬるく見ていたのだが


近づいて行くと怒鳴っている内容が明瞭になって来て俺は恐怖を覚えた


「てめえ!何で俺が買った○○(ジュース名)を盗ってんだよ!」


えっ?盗るって誰が?自販機が?


と段々疑問が恐怖に変わっていく


(近付いたらヤバい人だ…)


酔いも一気に覚め俺はなるべく気配を消してその男性の後ろを通り過ぎる事にした


突然方向を変えたら余計刺激しそうだったしどの道その自販機の近くの部屋なので接触は避けられないと思ったからだ


ガンガンと自販機に暴行を加えている男性の後ろをなるべく距離を置いて通り過ぎれた…と思った瞬間


「なぁ兄ちゃん、この自販機ここから手出て来て俺のジュース盗ったんだよ!」


(あー…ヤベぇな…)


俺はこれ以上絡まれない様に「(自分に)警察呼んだらどうっすか?」

等と適当にあしらいつつ足早に危機を回避した


翌日、その自販機は使用中止の張り紙と黄色いテープが巻かれていたので結局器物損壊扱いにでもなったのだろう


へべれけだったにしても「手が出てきて盗った」という文言は気にはなったが

興味本位で踏み込んで巻き込まれるのは嫌だったので結局そのまま忘れる事にした


昨日地元の自販機と格闘しているオッサンを見て突然思い出したので記しておくことにした

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