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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(霊)ずぶ濡れの女の子


あれは丁度とある神社であじさい祭りがあった時期だから梅雨時だったと思う


その年は例年よりもジトジトとした天気が続きブルーだったのだが

遠方から来た知人が隠れ?スポットとして意外と知られていないその祭りをどこからか聞きつけ

俺に案内を頼んで来たから仕方なく車を走らせた


あじさいにとってはきっと良い天気なのだろう、その年は例年よりも花が咲き乱れ見応えがあるそうだ


知人も綺麗な景色を十二分に堪能し、参道から社殿に続くあじさいの道を写真に収めまくっていた


俺はあんまり花に興味がないので(まぁ綺麗だわな…)位のテンションで傘をさしつつ後ろを歩いていたのだが


途中そのあじさいの花達の向こうに異様な人影が目に入った


参道の両脇はあじさいに囲まれているがその先は木々が立っている

あじさいと木々の合間位に1人の女の子が立っていたのだ


二の腕位迄伸びた髪、ハッキリとは見えないが白っぽいワンピース、左手には多分麦わら帽子みたいなモノを持っている


ただ傘嫌いな俺がやむ無く傘をさす位シトシトと雨が降る中、その子は傘もささずにずぶ濡れで立ち尽くしていた


(え?どっちだろ…)


普段何気に視える俺はその子が生きているのか亡くなっているのか判断がつかなかった


もし生きているならあのままじゃ風邪を引くだろうし親御さんだって心配してるんじゃないか?


そう思って近寄ろうとしたけどあじさいの向こうに行く術がなさそうで何処かに抜け道がないか?

とキョロキョロしている間にその子はその場から(消えて)しまった様だった


(ああ、死んでたのか)


そう理解してかなり離れてしまった知人達の後を追って境内に向かった


参詣を終えて車に戻り、帰りがてら蕎麦の旨い店でも案内しようと走り出してから

よくよく考えたらあの子の格好がボヤけていた事や足元が裸足だった事を思い出していた


あそこに何故いたのかは分からないが何となく寂しそうな感じがしたので

早く家族に見つけて貰えると良いな、と思いつつその場を後にしたのだった

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