(動物)お約束なの?
普段運動もろくにしない俺がひょんな事からオッチャン達と山菜採りに同行する事になった
予想を裏切らず一時間もしない内にへばって気付くと取り残されていた
(…まぁこの辺なら帰りがけに拾って貰えるだろうから下手に動いて迷子になるより此処で待つか…)
等と自分に言い訳をしながらその辺に生えていたキノコを探して時間を潰していた
二時間程経っただろうか?
流石にキノコ探しも飽きて倒木に腰掛け早朝起きの眠気に負けてうつらうつらとし始めていた
…ガサッ…ガササッ…
「…えっ?まさか…熊!?」
…ガササッ…ガササッ…
「またまたぁ、誰っすか?」
…ガサッ…
「?」
「ウソでしたー‼とかオチはないんですか?」
草を掻き分けている様な音が近付いて遠ざかる迄怖くて大声で話していたら急に静かになった
「おーい‼」
少しして袋一杯の山菜を抱えたオッチャン達が斜面を下って来た
安心した俺は
「さっきの冗談はキツかったっすよー‼」
と言っても皆ポカンとしている
「え?だってさっき熊みたいにガサガサやって隠れたでしょ?」
そう言ったら漸く合点がいった様だ
「そりゃ本物だべ」
聞いた瞬間背中に嫌な汗がどっと吹き出した
過ぎた事とは言え何故襲って来なかったのかとかが気になって聞いてみると一言でバッサリこう斬られた
「兄ちゃんの声が煩くてビビったんだべな、きっと」
誰かのイタズラだと思って大声で騒いでいた事が熊に威嚇していると勘違いされたと言う事らしいが
この経験で二度と山菜採りには行くまいと誓ったと共に料理で出される山菜をより感謝して食べる様になった




