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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(霊感)結局モヤモヤ?


(霊が)視える、と言うと大抵面倒臭い事になるので極々少数の知人にしか知らせてはいないが

中には自ら主張する人も結構いる


以前にも書いたとは思うが「視える」のと「祓う」とか「(意図的に)会話する」とか言うのは全く別物だと思っている


だけど「視え」ると言うと必ず「俺(私)に憑いてないか視てよ」と言う流れになるのでこれが面倒臭い


小さい頃から生きてる人とそうでない人の区別が曖昧だった、という人は何も意図して視てる訳ではなく

例えば待ち合わせ場所で佇む人々を見て何も思わない様に単純に「居る」のが分かるだけなのだ


霊感がない、と言われる人が待ち合わせ場所に佇む人の人となりを教えて!と言われても困る様に

単に視えるからと言ってその存在の説明が出来るとは限らないのだと思う


逆に霊能者と言われている人達の視え方がどう視えているのか聞きたい位で

以前霊能者の知人がいた時の話を解釈すると千里眼とかサイコメトリーみたいな能力が備わってるのかな?と感じた


前置きが長かったが此処からが本題。


以前何かの飲み会で「私、霊能めっちゃ強いんだぁ」と言う女性と同席した


同席した人達は酔っているから当然霊視大会みたいな流れになり「俺も、私も!」とその女性に占い紛いの質問を繰り返していた


「うーん、貴方にはご先祖様の霊が…」

「体調崩してるわね、それは良くない霊のせいかもよ?」


等とてきぱきと霊視(?)している


(へぇ、そんなに視えるんだ?)


と俺も試しに視て貰おうかと順番待ちに加わっていよいよ俺の番が回って来た


「…何も視えないわ、変な人」


と一刀両断され皆に「もうすぐ死ぬんじゃねぇの?」等とからかわれ、個人的にも何か損した気持ちになり落ち込んでいたのだが


飲み会が終わり二次会に流れる途中でその女性に呼び止められた


「貴方…もしかしたら視える人でしょ?」


そう指摘されビックリして理由を尋ねると彼女曰く同じ能力を持つ人は全く視えない時があると言われた


研究者でもないし(そんなもんなのかな?)と言う感じでお茶を濁したのだが彼女は何が気になったのかその後数回俺の携帯に連絡してきてその都度飲みに誘われたりもした


結局彼女とは一年位友人として話をしたり皆で旅行に行ったりする付き合いをしてどちらともなく疎遠になってしまった


それから暫く彼女の事は記憶から抜け落ちていたのだが数年前、俺が大病を患って入院していた病院で偶然の再会を果たす


お互い年も食って容姿も変わっている筈なのに彼女は俺を一発で思い出したらしく結構な勢いで話しかけられた


俺は術後で相当弱っていた事もあり待ち合い所のベンチに腰掛けさせて貰いお互い近況を話したりしていたのだが

どうやら彼女の旦那さんが癌で余り長くないらしい、と聞かされてどう話しをして良いのか分からず少し沈黙が続いた


彼女は結婚して身籠ると視えなくなりそれから暫くは普通に過ごしたらしい

だが旦那さんが目の前で吐血して倒れた際のショックからかまた視える様になったらしい


彼女はもう少し早く視る能力が戻っていたらもしかしたら旦那さんの不調に気付けたかも知れない、と悔やんでいたが

俺としてはどう返答をしたものか分からず黙って話を聞いていた


そんな事を話していると旦那さんが診察室から出て来たらしく「じゃあ」と言って別れたのだが

その時連絡先を教えたので一年程してから旦那さんの訃報を伝えられた


その時の文章にはやはり予兆に気付けなかった事への後悔などが綴られていたのだが最後に


「また落ち着いたら連絡するね、それまでは体に気をつけて」


と何か意味ありげな文言で締め括られていた


その時初めて気付いたのだがきっと彼女は俺に何かが視えたのだろう

何となくそう感じて以降、より体調の変化に気をつけている


今度会ったら俺に何が視えているのか聞いてみたいと思う

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