表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
259/441

(謎)思い出してよ!


こうして体験談を綴っておいて何だが俺は記憶するのがとても苦手な質だ


印象的な事は覚えてはいるが普段の何気ない出来事や軽い約束事、自分のも含めて誕生日等はスポッと忘れてしまう


幼い時からこんな感じなので数度会った人なら未しも例えば同窓生等も忘れてしまうので偶然街中で久しぶり‼な場面でも覚えてなくて適当に合わせている事もしばしばだ


そんなある日、行きつけのショットバーのカウンターでチビりチビりやっていると


2つ向こうのカップルがめっちゃこっちを見ていた

正確にはカップルの女性の方がガン見している


(何だ?)と思ったが気にせずグラスを傾けているとその女性はこっちに身を乗り出して話し掛けてきた


「ねぇ、○○ちゃん(?)だよねぇ?…やっぱりそうだよ‼久しぶりだねっ‼」


因みに俺は○○などというアダ名を貰う要素はひと欠片もない


「え?…違いますよ?」


「えー?忘れちゃった?私、○○よ、ほら、思い出した?」


と言われても記憶にない


「○○ちゃんだよ、絶対!」


「…違いますよ?」


と言う応酬を2~3度繰り返しているとカップルの男性が俺の困惑具合を察して女性を制し始めた


「違うって言ってるんだから人違いだよ」


「そんな事ないよー、ねぇ○○ちゃん思い出してよぉー!」


まぁ向こうも大分酔っていたので苦笑しながらやんわり否定していたのだが女性はどうしても譲らない


「何よー、あれだけ仲良くしてたのにぃー‼酷いよー‼」


そこまで断言されたらアダ名が間違って記憶しているだけでもしかしたら同窓生とかなのかな?とこっちも不安になってきた


その時カップルの男性が少し強目に彼女を諌めた


「いい加減にしなよ、○○ちゃんって子一昨年事故で死んだって言ってたじゃん!」


「…え?」(俺)


「あ…そっか…ごめんなさい…」


まさかの死んだ人と間違われたのだ


軽く謝られたけど気分も悪いしカップルは無神経なのか席を立たなかったので逆に俺がチェックして店を出る羽目になった


そんな事もあってその店はしばらく足が遠退いていたのだが半年位後に友人に連れられて再び訪れる機会が出来た


マスターは半年以上前だと言うのにその事を覚えていて止められなかった事を詫びてくれた


「あー、別にマスターが悪い訳じゃないんで良いですよ」


「それがですね…」


マスターは俺が店を去った後の事を教えてくれた


そのカップル(女性)はあの後も来る客来る客に同じ事を繰り返したそうで

あまりにしつこいのとどう考えても声かけしている人物に共通点がない為3度目位に退店して貰ったそうだ


しつこい彼女も彼女だが止めない彼氏も大概である


その日以降は一度も店には来ていないそうだが迷惑なカップルもいたもんだ、とマスターと俺は苦笑いした

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ