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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(謎)稲荷の炎


親父の生家の裏手には小さい山があり、その山腹には小さい祠が奉ってあった


日中でも薄暗いその祠迄の小道は確かに怖かったが

麓から眺めても祠が見える程度の距離でしかなく

更に言うと一度も拝んだ事もなかったので興味の対象外だった


多分夏休みの終わり頃だろうか


川遊びのついでに生家に泊まる事となり折角だからと夕食後に花火をしようと言う事になった


食事を済ませ表に出ると秋の虫達が盛大に鳴いている


そんな中、家の脇にある道路で手持ち花火等で楽しんだのだが流石に数もなくすぐになくなってしまった


もう少し楽しみたい、と言う気持ちがあったので従弟に何かないか?と尋ねると


「じゃあ稲荷様のトコまで肝試ししようぜ!」


と言い出した


ふと振り向いて稲荷様があるであろう山の小道を見ると真っ暗で何も見えない


じゃあ家に戻って懐中電灯とか探そう、と言う事になり一旦家の中に戻った


懐中電灯や藪蚊対策に蚊取り線香等を用意して準備が整う迄に10分程度掛かっただろうか?

一応叔母に断りをいれると二人で早速表に飛び出した


今となってはお笑い草だが当時としては「完全防備」で裏山に着くと懐中電灯を点灯し、いざ肝試しのスタートだ


が、先頭を進もうとしていた従弟が一向に動かない


「どうしたの?」と聞いても体が固まった様に動かない


「俺君、あ、あれ…」と従弟が山の中腹を指さした


え?何?と俺もその指の先を見る

すると…山の中腹、祠があるであろう辺りにろうそくの火の様なモノがポッと灯っている


「あれ?誰かお参りしたのかな?」


と思ったが従弟の怯え方が尋常じゃない


「そんな訳ないじゃん、だって普段だってお参りしてる人なんか見た事ないし…それにこんな時間に誰が来るんだよ」


それを聞いて恐怖が襲ってきた

確かにど田舎の小さい祠、隣には牛舎があるがとっくに寝ている


「うわ、おっかねえっ⁉」


従弟の叫びに更に驚いて二人で慌てて家へと駆け戻った


二人で部屋に戻ってあれこれと考えてみたが答えは全く出て来ない


そもそも近所はその牛舎の家しかないし近所の人が来るにしても徒歩は考え辛い

それに万が一、参りに来た人がいたとして火の始末をせずに帰るなんて事は考えられなかった


結局うやむやになって数年後従弟に聞いたら忘れていて逆にこっちの方が怖かった

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