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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(霊)変化


二十代中頃、東京の輸入商に勤めていた頃の話


通勤電車にどうも馴染めなかった俺は余程の事がない限りバイクで通勤していた


会社は高田馬場、都電荒川線が通る道にも近く近くには学習院もあって会社の周りは意外と静かな場所だった


出勤し其処から商材を積んで都内や千葉、埼玉などの取引先を周って夕方頃帰社する


道路の渋滞次第では夜になる事もあって会社員というよりフリーランスの様な業務形態だった


ある日、都電の線路脇の渋滞に引っ掛かりながらボンヤリ線路方面を見ていると駅に人影があった


それ自体は珍しくもなかった為その日はスルーして帰社したのだが次の日も、その次の日も時間帯が違うのに同じ場所に同じ人影があった


違和感を覚えたのは初めて気付いてから1ヶ月程過ぎた頃だろうか?


車中からその人影を見ていると電車が到着したにも関わらず乗車する素振りも見せず電車は発車してしまったのだ


(あぁ、人じゃなかったのか…)


そう思うと何だか気になった


毎日見かける訳でもない、渋滞に巻き込まれない日や疲れて見る余裕がない日もあったが

ふと思い出して駅を見るとその人影は必ず立っていた


都内や埼玉方面の仕事が増えて半年程そちら方面に行く事が少なくなり

久しぶりに帰社途中に忘れていたあの人影を目撃した


(あれ?ちょっとズレてる?)


そう思ったのは以前人影が立っていた場所よりホームの内側に移動しているのに気付いたからだ


正直何の理由で移動したのか?そもそも何で其処に立っているかも分からない


好奇心の為だけにわざわざ駅迄行って調べる気力もない


だから時々ふと思い出してはいるのを確認してまた意識を運転に戻していた


労働形態のブラックさに体調を崩し、退社してからはその付近を通る事はなくなってしまったが


あの人影は未だにあの駅に立っているのだろうか?

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