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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(謎)博打打ち


個人的にはあまりギャンブルにハマる性格ではないので例えば公営ギャンブル場とかそういう類の場所には行かないのだが


良く行く居酒屋にはそういった人達の「成れの果て」が良く来ている


少し感覚的な話になるがその人達には共通でおかしな影が視える事がある


影、と言うとこれまた微妙なのだが何と言うか…雰囲気がドンヨリ、としている


この雰囲気は微妙なモノである意味「枯れる」と消える


「枯れる」とは賭ける金も尽きて止めた人やギャンブル自体に飽きてやらなくなると視えなくなる


不思議な事に勝っている人にはその気配は視えず、負けが込んでいたりうらぶれていると視える


霊とかとは関係ないと思うのだが逆にこの影の正体を知っている人がいたら教えて欲しいと思っている


そんな居酒屋に1人のオッサンが良く来ていた

常に競馬新聞と赤ペンを手元に置きコップ酒一杯でどんだけ居るんだよ、的にずっと店の奥に陣取っていた


彼の素性は割愛するが家族と別れ天涯孤独の身の上で(競馬に)勝つとコップ酒をもう一杯頼むそうだ


まぁ俺は毎日行ってた訳ではないので彼の追加注文を見た事はなかったのだが。


ある日久しぶりに店に寄ったら相変わらず彼がいたのだが雰囲気が180度変わっていた

あのどんよりとした気配が消え幾分爽やかささえあった


彼は俺が店を出る迄凄くご機嫌でテーブルには軽いツマミさえ並んでいた


(え?何か良い事でもあったのかな?)


とは思いつつも流石に直に話す訳にもいかず微妙な疑問を抱えながらその日は店を出たのだが

何日か後、再び店を訪れた時には彼の姿はなかったのですっかり聞きそびれてしまっていた


彼の死を知ったのはそれから1ヶ月程過ぎた後だった

数週間ぶりに店を訪れた俺は何気にいない彼の事を訊ねたら店主が話してくれたのだ


俺が最後に見た辺りで彼は万馬券を当てた、と羽振りが良くなっていたそうだが以前から悪くしていた腎臓が元でそれから直ぐに他界してしまったそうだ


えぇ?と思いながらあの晴れやかな姿を思い出す


勝って憂い(?)が無くなったから気配が消えたのか、寿命が尽きかけていて消えたのか


その答えは全く出ない


どんよりとした雰囲気の正体を知っている人がいたら是非とも教えて欲しい

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