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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(霊or夢)ばあちゃん


俺が小さい頃、両親が忙しくて当時近くに住んでいた母方の祖母に面倒を見て貰っていた


ばあちゃんは時代劇が好きで良くテレビを見ていたが耳が悪かったのでイヤホンをテレビに繋いで間近で見ていた記憶がある


子供に時代劇はつまらないだろう、とテレビを見ながらリンゴや果物を剥いてくれてそれが楽しみだったのは覚えている


ばあちゃんは俺が小学校に上がる頃に母の弟と共に引っ越してしまいそうそう会う事は無くなったのだが


それでも時々は顔を出して挨拶位はしていた


そんなばあちゃんが危篤状態だから帰って来い!と連絡があったのは俺が東京に出て一人暮らしをしていた二十歳前後の頃だった


終電もとっくに無くなった深夜ではあったが電車嫌いの俺には生意気にもバイクがあり


急いで跨がって一路地元へと急ぎ帰った


明け方着いた病院の夜間窓口で事情を告げると警備員が連絡を取ってくれて直ぐに家族が迎えに来てくれた


ばあちゃんの病室に近付くと誰かのすすり泣く声が聞こえてそれが親族のモノだと分かったのは病室に入った直後だった


「あぁ、○○君…間に合ったのね…おばちゃんに触ってあげて」


そう言われて捲られた布団から出ていた手に触れてみたがもう既に冷たくなっていた


俺が到着して一時間もしない内にばあちゃんは静かに息を引き取った


火葬場の関係で葬儀は慌ただしく行われ無事(?)に終わったのだが


その数日後に夢(?)を見た


懐かしい部屋、懐かしいテレビ、その前にはイヤホンをつけたばあちゃんが時代劇を食い入る様に見ている


こたつの上にはばあちゃんが剥いてくれたリンゴが皿に盛られていた


懐かしくて声を掛けようとしたけど声が出ない

でも俺の目はばあちゃんから離れなかった


すると時代劇に夢中になっている筈のばあちゃんが突然俺の方に顔を向けた


「。。。ねぇ」



ばあちゃんの声は言葉尻だけ聞こえて来て何て言ったのかは分からない


でもその顔は笑っていて何となく「(来てくれて)ありがとうねぇ」

と言っている様に感じられた


その内容なら恐らく夢なのだろう

だが後日ばあちゃんが俺に、と用意してくれたモノがあると聞かされた時は夢じゃなかったのかも?


と思った


ばあちゃん、財布ありがとうね

今は大切にしまってあるから

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