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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(謎) 赤い傘

こちらも2話だけ投稿します


数年前、良く通る道に赤い傘が開いたまま置かれていた


初めは置き忘れか何処からか飛んで来たモノだろうな、と思っていたのだが

風が強く吹こうが何があろうがその場所から一切動かないので


(何か変だな…)


と思いつつも素通りしていた


夏のある日、傘のある歩道近くを通り掛かるとおじいちゃんが倒れていたのを発見した


どうやら散歩に出たは良いが途中で脱水症状になり歩行困難になってしまったそうだ


本人はどうも救急車を呼ばれる事に抵抗があるらしく頑なに拒否していたのだが呂律も回っていないし記憶障害もありそうだったので独断で呼ぶ事にした


何となくの場所を教え救急車を待っている間、何の気なしに辺りを見回すと目に入った例の赤い傘。


こんな時じゃなきゃ傘の謎は解けないだろう、と思って数メートル先の傘迄歩いて行った


…固定されてた。


道路脇のガードレールに太い針金で柄が固定されて飛ばない様にされていたのだ


その傘の下には萎びた花とジュースの缶


確実に「供えられた」モノだった


道路脇にお供え物があるのはそれほど珍しくはないがそれを傘で覆って(?)いるのにちょっと背筋が寒くなった


(うえ~…見なきゃ良かった)


と思っている内に救急車が到着し、隊員に状況を伝えて俺もその場を離れた


それ以来その赤い傘を見るとどうも気になっていたのだが

去年の台風でその道ごと崩れて通行出来なくなってしまった


知人に聞いても事故で死んだとか聞かないあの場所に何を弔っていたのか、それはもう永久に分からない

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