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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(動物)鹿


鹿ってのはなかなか厄介な生き物で夜ヘッドライトを点けて夜道を走っていると

突然車の前に踊り出て前を先導したりする(鹿達には度胸試しなのか?)


10年程前、 鹿肉や熊肉等を提供する飲食店のオヤジと知り合った


かなり豪胆な性格の人だったが捌いた食材達の供養は塚を建て供養する程敬虔だった

ある日、そのオヤジが事故に遭ったとの事で知り合いと共に見舞いに行った


怪我は大した事はなかったのだが生気を抜かれた様に枯れ果てているオヤジに


「どうした?元気ないぞ?」


と口々に心配の言葉を掛けたが中々口を開かない、暫くして漸く発した言葉は


「鹿だ…鹿がな、ぶつかってきたんだよ…」


どうやら夜道を走行中、脇から飛び出てきた鹿と接触→事故を起こしたらしい


「そんな事は稀にあるし避けられなかったなら仕方ないじゃないか」


と慰めてもオヤジの気が晴れる事はついぞなかった


1週間もしない内に届いたのはオヤジの急逝の一報だった


怪我が原因ではなく原因不明の急変で病院でも対処出来なかったらしい


数日後、家族のいなかったオヤジは親族や知人に見送られ荼毘に付された


それから半年も経った頃だろうか?

夕暮れ時に遇遇彼が眠る墓地の近くを通ったら墓の前に鹿とおぼしき影が見えた


荒らされたら敵わんと車を停めドアを開けようとしたが様子がおかしい

鹿らしき影は身動きする事なく墓の前に佇んで少しするとスッと踵を返し林に消えて行った


「恩」か「怨」かは分からないが近づく事は出来なかった

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