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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(謎)管狐


大人になるまで知らなかったが東北地方などでは管狐を隠れて奉る信仰があるらしい


管狐は他家から財を盗んで奉る家に持ち帰るとされていておおっぴらに奉ると都合が悪いらしいのだ


そんな事を知らなかった高校時代、友人の誘いで彼の祖父の家について行く事になった


折角の冬休みに何で?と渋ったが近くに有名なスキー場があり送迎も付けるという甘言につい乗ってしまったのだ


昔は庄屋だったという祖父の家は旧家と呼ぶに相応しい立派なお屋敷だった


お爺さんも気さくな人で突然お邪魔した俺をご馳走でもてなしてくれた


「男は酒の1つも飲めなきゃダメだ‼」


というお爺さんのゴリ押しで未成年の俺達も酒を飲まされたせいで初日は早々に潰れて寝てしまった


翌日、二日酔いにはならなかったが寝たのが早かったのと思った以上の寒さで俺達は早朝にも関わらずパチッと目が覚めてしまった


友人も俺も暇を持て余してどうせならこの家を探検しよう、となった


友人も此処に来るのは幼稚園以来だそうで二人でワクワクしながら家の中を歩き回った


お爺さん夫婦は離れに、友人の叔父夫婦は奥の部屋で寝ているとの事で起こさない様に探検をしていたが

ある部屋の障子を開けて俺達は驚いた


ソコには旧家らしく見た事もない程立派な仏壇とその脇にこれまた立派な神棚が鎮座していたのだ


「流石元庄屋だな…」


などと仏壇と神棚を見ていると神棚に不思議なモノが置いてあるのに気がついた


神社で神主が振るあの紙の房が付いた棒のミニチュア版みたいなモノの脇に古めかしい竹の筒が台座に支えられて供えてあったのだ


「何だこれ?貯金箱か?」


友人がヒョイと竹筒を持ち上げ中を覗こうとした時だった


「あんた等何してっだ‼」


ちょっと方言がキツ過ぎて聞き取れなかったが多分こんな感じだったと思う


とにかくその竹筒を持っていた友人を叔父の奥さんがしこたま怒ったのだ


「え?、、あ。。。」


友人も訳が分からずしどろもどろになっていると騒ぎを聞き付けてお爺さんが部屋にやって来た


「お前達○×△□っ‼」


これまた解読不能だったが要はしこたま怒られた


本当は2泊する予定だった俺達は叔父に駅まで送られて何の説明もされないまま帰された


後日その友人にはめちゃくちゃ謝られたがお互い気まずくなってその内に疎遠になりそのまま卒業してしまった


大人になって管狐の謂れを聞いて成る程、とも思ったが他人の財を盗んでまで裕福な暮らしをしたいと言う感覚は共感が出来なかった

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