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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(天罰)石つぶて


小さい頃、俺の親は忙しくてよく俺を親戚の家に預けていた

親戚の家の周りは何もなくて遊べる場所と言えば近くの川原か裏山だけだった


初めは興味津々で探検していても所詮は狭い地域、長くはもたなくて次第に過激な事をやりだした


裏山の中腹に稲荷を奉る小さな石造りのお社があってバカな俺達はソコに向かって


石を投げ《どっちの石が多くお社の扉の中に入るか?》とかを競いあっていた


そんな遊びも親戚の所に預けられる回数が減ると少なくなり高校生の頃にはすっかり忘れていた


前置きが長くなったが親戚の隣の家で葬式が出来、母親と共に手伝いに行った時の話。


部屋の片付けや力仕事を手伝い午後には解放されたのだが流石に田舎、当然娯楽がない


今ならスマホやゲームで暇潰しだろうがそんなモノもなく


「暇だから久々に裏山行こうぜ」


という従兄弟達の誘いを断る道理がなかった


陽が傾いて薄暗くなった山道を従兄弟達と登っていく

件のお社はもう目の前だ


…コン…パサッ…


何だ?と思い周囲を見回すと従兄弟が「痛ってぇ⁉」と額を押さえている

指の間からは血が滴っている


「何かヤバい、すぐ戻ろう‼」と言った俺の肩にも衝撃と共に鈍い痛みが走った


(…石…か?…誰かが石を投げてんのか?)


辺りを見回しても人影どころか動くモノすらいない


…コンッ…ココンッ…


石はあちこちに投げられ木や藪に当たって音を立てている


(ヤバい‼)


そう感じた俺はハンカチで額を押さえた従兄弟を支えて直ぐに麓に降りた


それからは大騒ぎ、従兄弟の母が発狂するわ集まっていた縁者達にこってり絞られるわ散々だった


来ていた縁者の中でも高齢の婆ちゃん曰く


「あのお社はウチのお守り様なんだよ、バチだね」


と言われて更に周りから怒られた


夜更け迄代わる代わる責められ翌日お供え物を持って詫びを入れに行った


罰が当たったのか祟られたのか分からないがあの石は何処から投げられたのか?それは未だに分からない

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