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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(祟り?)罰当たり


奇憚雑記中で散々書いているが幼少期は親の都合で多忙な時はよく親戚の家に預けられていた


田んぼと山以外何にもない親戚の家は退屈しのぎにイタズラをする事位しかなかった


流石にゲスト的な立ち位置の俺は主導してイタズラをする事はなかったが従兄弟とその悪友達は

傍若無人と言う言葉がピッタリくる位イタズラ三昧の日々を送っていた


例えば放牧されている牛に爆竹を投げつけて暴れさせたり軒先に吊るしてあった干し柿に水を掛けてみたりと


今考えたら損害賠償を請求されても不思議じゃないイタズラも結構していたのだ


ある年の冬休み、例の如く預けられた俺はほぼ一年ぶり位に会う従兄弟の悪友達に連れられ神社へと向かった


ド田舎に公園などある訳もないから神社の境内も来慣れた場所なのに何故行くのかな?と思いながらついて行くと


従兄弟と悪友達は神社に着くなり舞いを奉納する為の神楽殿の扉をこじ開けて侵入した


「え?ヤバくないの?」


流石に俺も不法侵入はマズイと思って聞くと


「今年は神楽殿の鍵持ちはウチの当番だから平気だよ‼」


という悪友の言葉を信じ込んで俺も中へと入った


しっかりと戸締まりしてある社だが老朽化の影響か所々から光が漏れて社の中を照らしている


奥には多分舞いの為の道具等が入っているのだろう、箱(長持)が幾つか積み上げられている


初めて入った場所に興味津々な俺は辺りをキョロキョロ見回していたら

悪友達が長持の蓋を開けて中を物色し始めた


お面、カツラ、装束、道具

神楽舞に必要な道具が次々に出てきて皆興奮していたが更に奥にあった古ぼけた長持を開けた時に雰囲気が一変した


古ぼけた長持の中身は以前使われていたであろう神楽舞の道具だった

新しい長持と内容はほぼ変わらなかったが全てがヤバい位に劣化していたのだ


悪友の1人が


「このお面ヤベー‼」


と持ち上げたのは多分般若のお面だったと思う

「多分」と言ったのはそのお面の劣化が激しくボロボロでまるで骸骨みたいに見えたのだ


…パキッ‼


「あ。。。」


悪友が手に取った古い般若面を冗談で顔に当てた途端2つに割れてしまった


「○介‼何やってんだよ‼」


見るだけならまだしも壊してしまった事で従兄弟や他の悪友達も一気に青ざめた


「こらぁっ‼何してんだこの罰当たり共がっ‼」


お面が壊れ皆が正気に戻った瞬間入り口からオッサンの怒声が響き渡った


その人は近所の農家で偶然神楽殿の戸が開いているのを見掛けてやって来たのだ


「とっとと出ろ‼この悪ガキ共がっ‼」


俺達は壊れたお面がバレない様にそっと長持に戻すと一発ずつゲンコツを貰いながら外に出されたのだった


所詮子供の浅知恵、隠したつもりでも壊れたお面の事はすぐバレた


後から聞いた話だが悪友が壊した面はこの神社建立以来使われていたお面で何やら謂れがある一品らしい


当然お面の事で後日地域ほ顔役達が集会を開き大問題となったのだ


お面を壊した悪友の父親はこの辺唯一の土建屋で当時は羽振りも良かったが

この事から数年後業態不振で倒産、一家は夜逃げ同然で何処かに引っ越して行ったそうだ


10年程経ったある日、従兄弟が偶然その悪友と再会した。と話してくれたのは親戚の葬儀の後だった


当時の活発さは全くなくそれどころか高校に上がってからグレて暴走族に入り

その後事故を起こして麻痺が残ってしまったそうだ


「…自業自得かね?それとも祟りかね?」


しんみり話す従兄弟は昔馴染みの変わり様に悲しさが滲み出ていた


罰が当たったのなら神楽殿に侵入した俺達にも何らかの罰が当たってもおかしくはない


それともあの破損したお面に何か祟られたのだろうか?

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