『奇憚(きたん)雑記』

(迷信)ヤモリ

結構有名な迷信でヤモリは(家守)と言って家を守るは金運も上げてくれるわの縁起物とされている

都会ではどうだか知らないがヤモリなんかは田舎のちょっと古い民家ならどんだけ守ってんだ？

と思う程遭遇する頻度の高い生き物である

東京で一人暮らしをしていた時、女友達から突然電話が掛かってきた

余りの慌てっぷりに落ち着かせて内容を聞くとどうやらトカゲがトイレの換気扇から落ちて来たらしく今封鎖しているとの事だった

「トカゲなんざ摘まんで表に投げりゃ終わりじゃん」

と言うと末代まで祟る勢いで怒鳴られたので仕方なく即席駆除業者として向かう事になった

「おいーっす、トカゲはまだいるの？」

と聞いたらドアを閉めたまま確認していないから分からない、と言われた

話を聞いても埒が明かないので渋々トイレのドアを開け探してみると便座の後ろにヤモリが張り付いていた

「これトカゲじゃなくてヤモリじゃん」

「どっちでも良いから早く追い出して！」

と怒鳴られたので捕まえて玄関先から逃がしてやった

急いで来てやったのにヤモリを素手で掴んだ俺はお礼すら言われずに部屋から叩き出された

…せめて流してから電話して来いや。それと恩人に礼も言えない人間は後でバチが当たるぞ？

と思ったがツッコむのも面倒なので帰りにコンビニでジュースを買って部屋に戻った

ヤモリを嫌ったバチか恩人(俺)を無下に扱った天罰かその女友達は告白した男に全力でフラれ自殺…

はしなかったがやけ食いしてかなりふくよかにおなりになったとさ