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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(霊)湖畔のボート


中学生時代の夏休み、友人の親が営む貸しボート屋で少しバイトをしていた


ソコはとある有名な湖の湖畔にあるボート屋で結構観光客の利用が多く繁盛していたのだが

雨の日だけでなく風の強い日等も客足は遠のくのでオンオフが激しい職場でもあった


ある日現地に着いてみると危惧していた雨が降りだした

こうなるとバイト自体がなくなるので忌々しく思っていると友人の親が


「今日はダメだから良いわ、と言いたい所だけど流されたボート回収してきて」と言われた


今までも何回か夜の内に風等で係留していたロープが解けて漂流する事もあったので引き受けた


友達と二人でエンジン付きのボートに乗り込み付近を捜索しつつ沖へと向かった


一艘、二艘と湖面を漂うボートを回収しロープで牽引して岸に戻る


もう少しで岸に着く辺りで変なボートが半分沈んでいるのを見つけた


「おい、これってどうすんの?」


と俺が尋ねると


「え?」


と友人が答えたのだがまぁそれほど気にせず回収作業は終了した


バイトは出来ない、帰るにも雨に濡れてバイクで帰る気力もない俺は友人宅に泊まる事にした


暇だったので近所の喫茶店にコーヒーを飲みに行ったのだがふとあのボートを思い出し


「そういえばあの半分沈んだボート、1人で見たら悲鳴モノだな」


と友人に同意を求めたが不思議そうな顔をされたので


「何だよ?」と言ったら


「お前、何か見えてたのか?俺には何も見えなかったぞ?」


と言われ「えっ?」となった


あの時、俺は確かに半分沈んだボートをあの場所で見た


冗談で言うにしてもつまらないしそんな発想自体思い付く訳もない


「ウソだろ?あったじゃん?」


食い下がる俺に友人はボソッと話してくれた


「そのボートな、実は何回も目撃されてるんだよ…でもな、そんなボートは存在しないんだよ」


「??」


頭の中が疑問だらけで何も言えない俺を尻目に友人は話を続けた


「俺らが小学生の頃かな?夜中にウチのボート盗んで自殺した女がいたらしいんだよ」


「朝になって沖に浮いてるボートを見つけた親父がな、回収に行ったんだけど

中で手首やら首やらから血を出した女が死んでたらしい」


「手首切る前なのか後なのかは分からないけどその女、ボートを沈めるつもりだったんだろうな、

底に穴あけてたんで浸水してたらしいんだよ」


「人が死んでたボートじゃ気持ち悪いじゃん?だからそのボートは後で処分したらしいんだけどさ」


回収やゴミ拾い等で沖に出た従業員やバイトが過去数回ソレを目撃したそうだ


その人達はその後何らかの原因で怪我をしたり変な辞め方をしたそうだ


何の冗談だよ?胸糞悪いなぁ…


と言いつつ喫茶店を出た直後、携帯に夢中になっていた女子学生の自転車に轢かれた


肋骨を2本折ったが謝罪に来た女子学生とその後仲良くなり怪我の功名?だったが


後で尾ひれがついたボートの怪談話では俺はトラックに轢かれて死亡という形で後世に伝わっているらしい

これで正月三が日分の予約投稿は終了です。


4日には多分直に投稿出来ると思います

では行ってきます!

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