表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
160/441

(人)おーい


子供の頃父方の実家(ばあちゃん家)によく預けられた


ばあちゃん家には従兄弟家族が同居してて同い年なので二人でよく野原を駆け回ってた


ある夏の日、いつもの様に裏山で探検ごっこをしていて時間を読み間違い夕方になってしまった


気付いて引き返した時にはもう日が沈んでかなり暗くなってしまっていた


こりゃ怒られるな、と先を急いでいると何処からか人の声が聞こえる


「おーい、おぅーい!」


確実に大人の男性の声が横の茂みの方角から聞こえてくる


従兄弟も気付いたみたいで足を止め声のする方をジッと見つめるとすぐさま猛ダッシュした


いきなりのトンズラに驚いて慌てて後を追うと背中越しに

「おーい…」と聞こえてきた


けど追ってきている様子もなく声はどんどん小さく遠ざかっていった


麓近く迄駆け降りて従兄弟はようやく止まった、と言うより派手にすっ転んだ


「ハァハァ…何だよ、何で走ったんだよ?」


と息も切れ切れに質問しても大の字に倒れた従兄弟はハァハァ息をするだけで答えない


埒があかないのでとりあえず家迄戻って改めて聞く事にした


二人ともフラフラになりながら帰宅すると遅さに叱られるよりも先に足の怪我で叱られた


落ち着いてから見ると笹で切ったのか無数の浅い切り傷が二人の脛に刻まれていた


手当てをし、夕飯を食べ頃合いを見計らって質問をしてみると従兄弟は恐ろしい事を返してきた


「お前、見てなかったの?藪の中でおっさんが呼んでたけど鉈持ってたぜ?」


藪こぎに鉈使う人もいるだろ?と切り返したら


「その鉈、血だらけだった」


見間違いかも知れないが二人共裏山探検はそれ以来していない

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ