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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(人)ホタル


二十歳になるかならないかの頃、地元の山合の沢でホタルが見られると聞き数人で出掛けた


目的地に着き車を降りると大して離れていないのに肌寒い位の気温にビックリした


車が置けるスペースから沢迄は少し小道を歩く必要がある


少ないとは言え民家もある事からなるべく静かに歩きだした


10分程歩くと目的の沢に着くが街灯もないので辺りはほぼ暗闇に近かった


沢に掛かる赤い橋の上からホタルを探していると橋よりももっと奥の方から何か音がした


(カン…カン…カン…カン…)


明らかに人工的で何かを打ち付けている様子


心霊現象でない証拠にその場にいた全員がその音を聞いていた


俺を含めた男数人がその音を辿って橋の奥に広がる林に向かい残りは橋の上で待機して貰った


(カン…カン…カン…カン…)


その間も音はずっと鳴り響いている


(カン…カン…カン…カッ…)


俺達の接近に気付いたのかその音が唐突に途絶えた


小さな懐中電灯しか持っていなかったし辺りも何もなかったので帰ろうと踵を返した瞬間


「うわわわわわわぁ~‼」


と先頭を歩いていたヤツが全速力で走り出した

つられて俺達も彼についてダッシュし橋まで戻ったのだが訳が分からないので走った理由を聞いた


「お前らは見なかったのかよ」


そう言われても見たのは必死の形相で逃げ出したソイツの顔しか見ていない


「あのよ…俺達の近くの茂み…そこに白い着物を着たババアが座ってこっち見てたんだよ‼」


え?見てないぞ? と言った瞬間全てを把握した


俺達は誰かの丑の刻参りを目撃してしまったのだ

と、脳内に(丑の刻参りを他人に見られた場合の処理の仕方)がザザザっと出てきて

俺達は慌ててその場を逃げる様に離脱した


その後何事もなかったがあの丑の刻参りをしていた人はどうなってしまったのか?

それは今でも知りたい

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