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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(霊)ラブホテル


二十歳そこそこの頃、ナンパで知り合った女性と良い感じになりラブホに行く事になった


当日は花火大会当日で超満員、待つのも興ざめなので記憶を辿って寂れたラブホに向かった

到着すると潰れてるのか?と思わんばかりだったが入り口の看板には「空室あり」の灯りが

有り余った性欲に負けて勢いで突入した


田舎のラブホは駐車場脇に部屋があるタイプでソコもそうだったのだが殆どカーテンが閉まっている

普通なら所謂「在室中」と思うのだが風に揺れるカーテンの隙間からは何処にもタイヤが見えていない

要は「在室中」ではなく「使用不可」な理由でカーテンが閉まっているのだ

異様な雰囲気に敷地から出ようと思ったが良くみると奥のカーテンが開いている

近づくと「空室」のランプが点いていたので性欲に…以下同文


古びたドアを開けると僅かにカビ臭い、部屋の造りも古い

何より何故かビーズで出来たドレスみたいなモノが上半身のみのマネキンに着せてあって怖い

(そんなんコスプレで使う猛者いるのかよ?)

と思いつつも性欲に…手際良く風呂に湯を張って二人で入ってコトを済ませた


女は既に夢の中、が俺は部屋とビーズのドレスが気になってなかなか寝つけない

テレビの光だけの薄暗い部屋で天井を見ているとベッド横に気気配を感じた

え?と思っているとその気配はゆっくりと動いているっぽいが見えはしない

すぅーっとドレス付近にその気配が来た時、ドレスのビーズが風もないのに揺れだした

(何かいる‼)

そう感じた俺は女性を叩き起こして逃げる様に部屋を飛び出した


そのホテルはその後直ぐにリゾート風ホテルに改装され現在も営業をしているが

実は旧い方では自殺があった曰く付きのラブホだった


教訓。性欲に負けてもラブホ選びは慎重に

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