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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(人)民宿


高校の頃、スキーにハマって足繁く通い詰めた

勿論電車移動で重い荷物を持っての移動なので駅まで迎えに来てくれる民宿は有り難かった

その民宿は老夫婦が営んでいるこじんまりとした所で送迎は専らおじいの仕事だった

散々滑り倒した後連絡を入れるとおじいがレストハウスまで迎えに来てくれる

おじいの外国語かと思わんばかりの方言で(多分)「楽しめたかい?」と出迎えられる


そんなある日、いつもの様に送迎をお願いするとおじいが具合悪くなったとかで無理だと言われた

まぁ帰りは下りだし何なら滑って降りようか、と言い出した

言い出しっぺは親友のA、難色を示したのは今回初同行のBだ

俺は勿論Aの案に大賛成、早速板を履いて下り出すとBも渋々ついてきた


整地されたコースとは違い多分畑か何かであろう場所を滑るのは新鮮で楽しかった

民宿まであと一息、と言う所で後ろから「あーーー!!!」という悲鳴に近い声が聞こえた

すぐさま振り向いたが後ろからついてきている筈のBの姿が見えない、

「おーい、B何処だー?」

返事はないが勘で少し戻ってみるとBの板が逆さまの状態で並んで置いてあった

えっ⁉良く見るとBは頭を下にした状態で側溝の様な所に落ちていた


さっきココを通過する際、窪みに対して対角に滑れよという注意が聞こえなかったらしい

結構な深さと無返答なBにもしや大惨事?と慌てたが急にBが

「おぅい、起こしてくれよぅ…」

と情けない声をあげたもんだから意表を衝かれた俺達は大爆笑してしまった


笑って力が入らない俺達に

「おぅい、笑ってないで助けろよぅ」

と更に追い討ちをかける様な情けない声を出すもんだからなかなか助けられず暫く動けなかった

何とか笑いを堪えて救出し、宿に戻るとおばあが笑顔で出迎えてくれた


Bとはまだ多少縁があるが未だに無慈悲な俺達を悪者にする武勇伝?を語っている

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