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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(霊)お二人様


若い頃、ぼんやり考え事をしながらドライブする癖?があった


特に目的もなく運転して気付くと地元からかなり離れてしまっているので

折角だから、と途中で目的地を設定して東北とか日本海側とかにそのままドライブしていた


それは山を越えて日本海側、どうせなら佐渡でも見て帰るか‼

みたいなアバウトなドライブの時だった


深夜の山道を淡々と走りダム湖の近くにあったちょっとした空き地(?)を見つけたので休憩を取る事にした


ソコは多分近くに施設があるのかもしくは観光用なのかこじんまりした駐車場で

俺の他にはトラックが1台休憩なのか停車しているだけだった


(自販機もない、か)


コーヒーでも買おうかと外に出て見回したが辺りには明かりもなくトラックのアイドリングが少し聞こえてくるだけだったので

仕方なく軽くストレッチをして再出発する事にした


駐車場を出て5分位走ったであろうか?


湖畔沿いの道が少し山側にずれた辺りで人影を見つけた


(えっ?こんな時間に人が?)


時計を見ると午前2時半位、

ピンクのコートっぽい服を着て多分キャリーバッグみたいなのを転がしている女性が歩いていた


(え?何処から歩いて何処に行くつもりなんだろ?)


湖畔沿いに走る道路は見た限り店はおろか人家もなかった筈だ

宿から出てきたにしてもどれだけ歩いたら此処まで来たのかも想像がつかない


ちょっと嫌な感じがしたし明るくなる前に新潟に着きたかった俺は声を掛ける事もなく女性の脇を通り過ぎた


峠を越え人家も疎らに出だした頃、某有名なファミレスの看板を見つけたので休憩する事にした


時間は多分4時位だったと思う


駐車場に車を停め店内に入ると客は俺1人の様だ


テローンテローン♪


入店を知らせるチャイムが鳴って店員が厨房から出て来た


「いらっしゃいませ、お二人様ですか?」


「…は?」


「えっ?あれっ?」


店員の視線は俺の背後に向けられている


「…やだなぁ~、1人ですよ?」


「申し訳ございません、1名様ですね?」


とテーブル席に案内してくれた


軽食とドリンクバーを頼んでボーッと外の景色を見ていると誰もいないせいか厨房からの話し声が聞こえてきた


「だからぁ、いたんだって。ピンクのコート着た人が」

「またまたぁ‼」


おいおい、丸聞こえだぞ?


と思ったがピンクの…で思い出した

どうやら拾って来てしまった様だ


その後食事もソコソコに再び走り出した俺は無事に港に着いてちょっと観光した後帰りがけに見かけた神社に立ち寄って帰路についた


怪談話なら何かイベントがあるのだろうが実際はこんなモノだ


まぁ後から考えると車の中という密室にずっと一緒にいたかも?と考えると気持ちは良くないのだが。

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