表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
124/441

(人)アパート


学生時代、借りていたアパートであった下手をすると洒落にならなかった話。


一人暮らしも大分慣れた初夏のある日、いつもの様にバイト先から帰宅した俺は寝支度をして速攻眠りについた


深夜気配を感じてふと目を開けてみるとベッドの脇のテーブルの向こうに同じく目を見開いたオッサンが横になっていた


驚いて飛び起き、誰だ‼と怒鳴るとオッサンは1人ではなく2人だった


2人のオッサンは慌てた様子もなく片方がこの部屋の前の住人で間違って元の部屋に戻って寝てしまった、と説明した


鍵はどうした?と言うと合鍵を返却し損ねてまだ持っていたと言う


普段静かな隣人が怒鳴り声を上げているのを不審に思った隣のOLさんが通報したらしく直ぐに警官がやって来た


2人は俺に話した様な弁解を始めたが明かりの下で冷静に見たらその異様な出で立ちにビックリした


初夏だと言うのに2人とも全身黒の長袖長ズボン、玄関先には黒いバッグが1つ


当然2人は駆けつけた警官達に連れられて行ったのだがその後の連絡に更に驚いた


2人は空き巣常習犯で時には在宅中を狙い家屋に侵入、強盗紛いもザラな凶悪犯だったらしい


その日は合鍵を持っていた元自分の部屋に押し入り盗みを働こうとしたら相方が突然のギックリ腰


その為少し休んでから犯行に及ぼうとしたらしい


2人で横になって息を潜めていたら住人である俺が突如目を覚まし見張っていたもう一方とご対面、という顛末だった


警官にはいたく同情された。鍵掛けていたって合鍵があるんじゃねぇ…と


それと同時についていたね、とも言われた


理由を聞くとその2人が所持していたバッグからは包丁や釘抜きが見つかり付いていた血痕を調べたら

他の強盗致傷事件の被害者のモノだったらしい


もし1人がギックリ腰に見舞われなければ突然寝込みを襲われていたかも知れないしそれ以上にもなっていたかも


寝ぼけて勢いで片方を組伏せてたけどそれがギックリ腰の方だったら確実に後ろから…と思ったら怖くなった


翌日大家と不動産屋が土下座攻撃に来たので文句を言ったら賃貸契約が切れる迄此方に、と


学生には分不相応なマンション(大家の手持ち)に賃料なしで住めた(他言無用の密約あり)


良い事もあったが思い返せば殺されていてもおかしくなかった事を考えると微妙な思い出だ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ