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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(人)レンタルビデオ

学生時代、暇に飽かせてビデオを見まくっていた


ジャンルは特になく強いて挙げるとホラーモノが多かった気がする


当時通っていたレンタルビデオ屋は個人経営でこじんまりとしていたが

店主の趣味なのかホラーモノやサスペンスモノが非常に充実していた


毎日5本程度借りて一気に見て返しては借り返しては借りの毎日でいつしかほぼ店内のモノは制覇していた


「ねぇ、○○(店長)さん、何か凄いのない?」


「はは、君を満足させるのって中々難しそうだよな」


などと与太話をして目ぼしいモノを借りて行く毎日


そんなある日


「俺君、気に入るかどうか分からないけど凄いの入ったよ」


カウンターの下から取り出したのはあからさまに商品ではないビデオ


店長も要は同じ趣味でそういう怪しいルートから際どい映像を仕入れていたらしい


「これはね、ちょっとヤバすぎて商品にはならないんだけど俺君には特別ね」


「特別ね…」この言葉に痺れて挨拶もソコソコに家に帰って早速再生してみた


どうやら個人で撮影したモノらしく音楽もタイトルも入っていない


映ったと思ったらソコはどこかの廃屋?だった


中央に汚いパイプ椅子が1つ、周りは工事現場の材料みたいなモノが乱雑に置かれている


5分位何もなく(騙されたか?)と思ったら突然数名の男達の怒声と共にYシャツ姿の男が現れた


Yシャツ姿の男(以降Y)は暴力を振るわれたのか服もボロボロで足取りも覚束ない


怒声を挙げていた男達が無理矢理中央のパイプ椅子にYを座らせる


Yは目隠しにガムテープの猿ぐつわ、両手は後ろ手で縛られている様だ


「んー、んー、んむー‼」


Yは何か言いたいのだろう、必死にうめき声をあげている


それが10分程続いて見ている方(俺)もその異様な光景を見慣れてきた頃


画面の外から「カチャ…カチャ…」と金属音が数度鳴った


突然1人のスカジャン姿の男(以降スカ)がYの前に立ち、しゃがんだ


「…んーーーっ‼」


Yが突然凄まじいうめき声をあげだした


スカが立ち上がり画面から消えるとYは身を捩りながらさっきとは異質のうめき声をあげている


逃げようとしたのか何度か暴れて椅子ごと倒れその度に男達がフレームインしてYを起こす


(一体何を見せられているんだ?)

その疑問は次にスカが現れしゃがんだ時に即座に認識出来た


「んーーーーーーー‼」


身悶えるYの足下でスカがやっていたのは…


(Yの足の爪を剥がしていた)のだ


スカの右手には多分ドライバー?千枚通し?の様な道具が光っていた


(フェイクにしちゃやけにリアル過ぎるよな…)


もうこの時点でやらせ等穿った考えを抱く必要は無くなっていた


Yの足の先、グレーの靴下は真っ赤というか黒というか多分血で染まっていた


スカがYの爪を剥がすとその場を立ち去り誰かと話しあってまた戻ってくる


Yはもう抗う気も失せたのかスカが屈む度にあげるうめき声以外はグッタリしていた


足は全て爪がなくなり次は?と聞かれたら次は勿論手だろう、と言う所で急に映像は終わった


(一体俺は何の映像を見ているんだ?)


と急に怖くなり慌ててビデオ屋にそれを返しに行った


店長は


「どう?凄かったでしょ?」


とニヤニヤしていたがどうも胸糞が悪くてその後は足が遠退いてしまった


数ヶ月後、そのビデオ屋は急に閉店となり居酒屋が後に入って面影はなくなってしまった


後にそのビデオはスナッフフィルムとかいう一部のマニアの為に作られたモノだと知る事になる


未だに生々しい映像は頭に残っている

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