103/441
(霊)夕暮れ
子供の頃、今よりも夕暮れ時の寂しさは何とも言えないノスタルジーを感じたものだ
あれは小学生の秋口あたりだったろうか?
例年よりトンボが多く飛び交って捕まえたりして遊んだ帰り道
通りすがりの一軒家の軒先におばあちゃんが座っていた
「こんにちは」
視線が合った気がして挨拶をしてみたら微笑んでくれた様な気がしたので軽く会釈をした
翌日また遊び疲れて帰ろうと件の一軒家を通りかかった時
(あのおばあちゃん、いるかな?)
と何気に視線を送るとソコはもう何十年も人が住んでいなかった程の廃屋だった
怖くて駆け足で通り過ぎたあの家、数年後には取り壊されて更地になっていたけれど
あのおばあちゃんはまだあそこにいるんだろうか?




