6.5話
たくさんの感想、そして誤字報告ありがとうございます!
誤字に関しましては確認は致しますが多発すると思いますので、お許しいただければと思います。
今回の話は前回の話の絵美視点になります!
※次回の更新は3月14日(木)になります
高山絵美視点
神崎君と出かけた日。
私はこの気持ちに気づいてしまった。
あの優しい笑顔、優しい声、一生懸命な姿。
思いだすだけで心臓がどきどきする。
今すぐにでも会いたい。
ずっと一緒にいたい。
神崎君は言ってくれた。
これからも一緒にいていいって。
決めたんだ。
神崎君に、私の事好きになってもらう。
また神崎君には迷惑をかけるかもしれない。
それでもこの想いはもう止められないから。
神崎君は絶対にモテる。
誰かに先を越されるわけにはいかない。
明日から、積極的に仕掛けないと。
その決意を胸に私は眠りについた
-------------------------------------
月曜日
停学明けにも関わらず、クラスのみんなは優しく声をかけてくれた。
そんなクラスメイト達に感動しつつ、私の学校生活の楽しみであるお昼休みがやってきた。
いつものように人目のつかない屋上へと続く階段で私が待っていると神崎君がやってきた。
今日は神崎君が大好きなハンバーグを作ってきた。
ソースも力を入れた。
とっておきの自信作を持ってきた。
まずは神崎君の胃袋をつかむ作戦。
「はい! 今日のお弁当!」
「ありがとう! 俺もお弁当!」
私たちは弁当を交換しあう。
この瞬間はいつまで経ってもどきどきするし、弁当を開ける時もどきどきする。
神崎君のお手製弁当を開けると、私の大好きな卵焼きが入っていた。
それだけで胸がきゅんとしてしまうあたり私は完全に恋している。
「やっぱり高山さんのハンバーグは美味しいなー」
「改めてそう言われるとうれしいけどなんか恥ずかしいかな」
神崎君は私のお手製ハンバーグを食べてそう言った。
それだけで顔がすごく熱くなって恥ずかしくなった。
もちろん神崎君の卵焼きもすごくおいしかった。
胃袋をつかまれているのはむしろ私の方なのかもしれない。
そして私はもう一つの作戦をここで決行する。
「そういえば神崎君、来週テストだけど勉強してる?」
「テスト? あ……」
そう。今はテスト週間。
そして都合のいいことに私は先週学校にいなかった。
つまり、先週の授業内容を教えてもらうという名目で神崎君を誘う事ができる。
「忘れてたけど、たぶんこの一週間勉強すれば行けると思う」
「そうなんだ。あのね……私一週間授業受けてなかったからその……」
いざ、誘うとなると緊張してしまう。
脳内予行演習は完ぺきだったのに。
「俺でよければ教えるよ」
私がもぞもぞしていると、神崎君は優しい声でそう言ってくれた。
「じゃあじゃあ今日の放課後いいかな?」
「いいよ。じゃあ俺の家でやろっか。高山さんの家は妹さん二人いるし、勉強も集中しにくいだろうから」
「ありがとう! じゃあ放課後約束ね!」
いきなり今日の放課後を提案したにも関わらず了承してくれた上に、なんとまた神崎君の家に行くことができる。
作戦は完全に成功した。
声をだして喜びたいところだが、ぐっと抑えその場はそれにて解散になった。
もちろん午後の授業なんて集中できるわけもなく、放課後のことを考えているといつのまにか授業は終わっていた。
授業が終わり、私たちはコーヒー屋さんのスタボで待ち合わせした。
合流すると、そのまま神崎君の家に向かったが、神崎君と並んで歩いてるだけで心臓の鼓動が早くなって、冷静を装うだけで精一杯だった。
「お邪魔しまーす」
「どうぞー」
家に上がることができた。
ここまでは順調に進んでいる。
そしてここは神崎君の家。
誰にも邪魔されずに好きなだけアタックできる。
勉強を開始すると、私はここぞとばかりに神崎君に引っ付いた。
少し大きめのテーブルで密着する必要はない。
でもそんなことは関係ない。
それに近づいても神崎君は拒まなかった。
心臓の音がどんどん大きなっていくのが自分でもわかった。
神崎君にばれないかな。
そんなことを思いながら神崎君の授業を聞いていた。
ただ、神崎君には申し訳ないけど授業の内容は全く頭にはいってこなかった。
だって、神崎君と密着しながらの授業なんて集中できるわけないじゃん。
でも大丈夫。こうなることを予測して、停学中テスト範囲になるであろう箇所は家で予習済だ。
だからある程度受け答えはできたと思う。
そんなこんなで30分が経とうとした頃、私はまた勝負に出る。
「神崎君?」
「は、はい!」
名前を呼ぶと神崎君は、変な高い声で返事をした。
もしかして神崎君も緊張しているのかもしれない。
「今回のテスト勝負してみない?」
「勝負?」
「そう! テストの合計点が高い方が勝ち。で、負けた人は勝った人の言う事をなんでも1つ聞かなければならない。」
私がこの勝負を仕掛けたのには自信があったから。
なんせ私は中学3年間1位を取り続けてきた。
神崎君がどれくらい賢いのか知らないけど、きっと勝てる。
勝負に乗ってくれることを祈っていると
「わかった! その勝負乗るよ!」
「やった! 絶対だよ!」
「当たり前だ!」
思わず心の中でガッツポーズがでてしまう。
どんな要求をするかはもう決まっている。
海に行く。
正直スタイルには自信がある。
神崎君と海に行って私の水着で悩殺しようという作戦。
この勝負絶対負けるわけにはいかない。
そう思って神崎君の方をみると私の体を舐めまわすようにみていた。
私は思わず、自分の体を手で抱え少し縮こまり距離をとった。
「エ、エッチな事はダメだからね!」
「そ、そんな事はしない!」
べ、別に嫌じゃない。
でも、物事には順序というものがあって……
神崎君とのあんなことやそんなことを考えると、顔がすごく熱くなってきた。
ただでさえ集中できない勉強がその後集中できるわけもなく、ただ時間が過ぎていった。
「今日はこれくらいでいいかな」
3時間後
今日の勉強は終了という事になった。
ここで素直に帰ってはいけない。
最後の作戦をここで決行する。
「もしよかったらご飯つくらせてもらってもいいかな?」
できる女アピール作戦!
お弁当だけではなく色々な面から神崎君の胃袋をつかんでいくのだ。
「いや、いいよ。高山さんの家のこともあるだろうし」
少しがっかりしたが、ここでめげてはいけない。
きっと神崎君は本当に私の家の事を心配してくれている。
なら、その思いを解けばいい。
「それは大丈夫だよ! 今日は妹が料理してくれるらしいし、みんなには遅くなるって言ってあるから」
「そ、それならお願いしようかな」
よし!
作戦の第一関門は突破。
あとは料理で神崎君を喜ばせてあげれたら完ぺき。
「じゃあ、作っちゃうね!」
「なにか手伝おうか?」
「いや、大丈夫だよ! 神崎君は座ってて。冷蔵庫にあるもの適当に使っていいかな?」
「好きな物を使っていいよ!」
「はーい!」
神崎君の家のキッチンで神崎君の為に料理を作る。
まるで夫婦みたい。
そう思うと顔が熱くなるのと同時にテンションが上がる。
珍しく鼻歌を口ずさみながら私は研究に研究を重ねたオムライスを作った。
「前、私がオムライス作るって言ったからオムライスにしてみたの!」
神崎君と遊びにいったあの日。
私が作ったオムライスを食べてみたいと言われ、美味しいオムライスの作り方を研究した。
まさかこんなにも早く披露することになるとは思わなかったけど、味に自信はある。
「いただきまーす!」
神崎君はそういうと、一口オムライスを食べた。
その瞬間本当に幸せそうな顔をして「美味しい」と言ってくれた。
心の中でシャドウボクシングをしてしまいそうなくらいにテンションがあがりながら私は自分の分のオムライスを食べる。
こんな最高な一日もあっという間に終わり、遅くなりすぎる前に家に送ってもらうことになった。
家に帰ってからも興奮が収まらなかった私は枕に頭を埋め、足をばたばたしていると妹たちから「うるさい」と怒られるのであった。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
よければ感想やご指摘お願い致します!
また、ブックーマーク登録もしていただけると嬉しいです!
こうした方がいいよ!っていう感想も待ってます!