6話
今回は少し短いです
高山さんの停学期間が終了し、無事学校へと復帰した。
高山さんの停学理由はアルバイトという事は噂で広がったが、別にそれで高山さんを変な目で見る人はいなかった。
というよりむしろ、どうしてアルバイトが禁止なんだよという声の方が多いはずだ。
俺も親父の手伝いという名目で行っているが実際グレーなところではあるし、こんな事はあまり言いたくはないが今回はたまたま高山さんが見つかっただけで他にも隠れて行っている生徒はいるかもしれない。
なにはともあれ、俺は無事復学した高山さんと久しぶりにお弁当タイムを過ごしていた。
一週間遅れとなったが俺は高山さんお手製のハンバーグを食べていた。
「やっぱり高山さんのハンバーグは美味しいなー」
「改めてそう言われるとうれしいけどなんか恥ずかしいかな」
高山さんは頬をかき少し赤くなっている。
「そういえば神崎君、来週テストだけど勉強してる?」
「テスト? あ……」
完全に忘れていた出来事に俺は一瞬焦りを感じたが、すぐに冷静になった。
授業はちゃんと聞いているし一日30分はその日の授業の内容を復習するようにしている。
この一週間少し勉強すればテストはそつなくこなせると思う。
「忘れてたけど、たぶんこの一週間勉強すれば行けると思う」
「そうなんだ。あのね……私一週間授業受けてなかったからその……」
少しモジモジしながらなにか言いたげな態度をみせる。
言いたいことはわかっている。高山さんは勉強を教えてほしいのだろう。
「俺でよければ教えるよ」
そういうと顔をぱぁっと明るくした。
「じゃあじゃあ今日の放課後いいかな?」
「いいよ。じゃあ俺の家でやろっか。高山さんの家は妹さん二人いるし、勉強も集中しにくいだろうから」
「ありがとう! じゃあ放課後約束ね!」
そうして、お昼休みのお弁当タイムは終了して、放課後となった。
近くのコーヒ屋さんスタボで待ち合わせをして俺の家へと向かった。
「お邪魔しまーす」
「どうぞー」
相変わらず女の子を自分の部屋に入れるのは緊張する。
それも学校で一番の美少女と言われる高山さんならなおさらのことだ。
家にあげるのも三度目で初めほど緊張感はなくなったがそれでもやはり緊張する。
こんな美少女を男の俺は家にあげているなんて知ったら学校の男子たちはどんな反応をするのだろうか。
考えただけでも恐ろしい。
勉強を始めて30分程がたった。
俺の小学生の頃の記憶が正しければ高山さんは相当賢かった気がする。
今も先週の授業内容を教えているのだが、気持ちいいくらいに吸収してくれる。
が、そんなことを冷静に考えれるような状況ではない。
親が来るからということで一人暮らしにはしては少し大きめのテーブルを買っている。
にも関わらず、俺と高山さんの肩が触れるくらいに俺たちは近づいているのだ。
別に俺から寄せた訳ではない。
高山さんから急に寄ってきたのだ。
嫌なわけではない。むしろ、いい匂いがするしこんなに可愛い子がこれだけ近づいてくれるのならば嬉しいに決まっている。
しかし、心臓の鼓動が早くなりすぎて勉強の事なんて全く頭に入ってこなかった。
「神崎君?」
「は、はい!」
急に声をかけられて変な声がでてしまった。
「今回のテスト勝負してみない?」
「勝負?」
「そう! テストの合計点が高い方が勝ち。で、負けた人は勝った人の言う事をなんでも1つ聞かなければならない。」
この勝負をしかけてきたのはきっと彼女は自信があるからだろう。
今、勉強を教えていても頭がいいのは明らかである。
でも、俺だって中学時代ほとんど1位を取り続けてきた。
本気で勉強すれば負ける気はしない。
そこまで考えた俺にこの勝負を放棄するという選択肢はなかった。
「わかった! その勝負乗るよ!」
「やった! 絶対だよ!」
「当たり前だ!」
そう言って俺は、彼女の体を見た。
制服の上からでもわかるスタイルの良さ。
男なら見たいと思うのは仕方のない事だろう。
勝負に勝ったら今年の夏休みに海にでも誘おうかな。
そんなことを思っていると、高山さんは自分の体を手で抱え少し縮こまり俺から少し距離とった。
「エ、エッチな事はダメだからね!」
「そ、そんな事はしない!」
水着をみたいからという理由で海に誘うのはエッチなことになるのだろうか。
明らかに下心からきたものであるが、それくらいのお願いは許していただきたい。
それからすぐに距離を戻してきた高山さんと3時間程勉強した。
「今日はこれくらいでいいかな」
時刻も18時を過ぎており、勉強を終わることにした。
「もしよかったらご飯つくらせてもらってもいいかな?」
ふぅーっと背伸びをした後高山さんはそう言った。
「いや、いいよ。高山さんの家のこともあるだろうし」
俺は盛大に強がった。
本当は食べたくて仕方がない。
しかし、今から料理を作ってもらって食べていると帰るのは19時を過ぎてしまう。
「それは大丈夫だよ! 今日は妹が料理してくれるらしいし、みんなには遅くなるって言っているから」
「そ、それならお願いしようかな」
少し申し訳なさそうに俺はそう言ったが、心の中では高山さんのお手製料理がまた食べれることにガッツポーズしていた。
「じゃあ、作っちゃうね!」
「なにか手伝おうか?」
「いや、大丈夫だよ! 神崎君は座ってて。冷蔵庫にあるもの適当に使っていいかな?」
「好きな物を使っていいよ!」
「はーい!」
鼻歌を口ずさみながら料理する高山さんを見ていると一か月前まで距離が遠かったことが嘘のようだった。
それから20分程待つと高山さんは料理をテーブルへと運んできた。
でてきたのはオムライスだった。
「前、私がオムライス作るって言ったからオムライスにしてみたの!」
卵がすごくふわふわしていて、ソースもおそらく彼女特製のものだった。
匂いからして相当おいしそうだった。
「いただきまーす!」
そう言って一口食べると、本当に頬が落ちそうな程美味しかった。
お店で食べたオムライスとはまた違った美味しさがあって毎日たべていたいくらいだった。
「美味しい! めちゃくちゃ美味しいよ!」
「よかった! そう言ってもらえたら作った甲斐があったよ」
本当においしすぎて気が付けば高山さんお手製オムライスを完食していた。
その後、もう日が暮れているという事もありアパートまで送り届けて俺たちは別れた。
お互い、勝負に対し密かに闘志を燃やしながら。
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