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4話

なんとなんと総合評価200PT

そしてブックマークも80件を超えました!


ジャンル別日間ランキングも本日12時時点で9位にランクインしてました!


本当に皆様には感謝しかございません。


こんなにもたくさんの方に読んでいただけるなんて本当に夢のようです!


これからも春人と絵美の物語を楽しみにしてもらえたらと思います!

神崎春人視点


 途方に暮れながらも自宅へと帰宅し、まだなにか策はあるはずとあの手この手と考えた。

 俺が彼女に金銭的に支援してあげてもいい。


 だが、きっと彼女はその行為を拒むだろう。


 彼女がアルバイトを続けられる為の策。

 それは学校側が禁止している以上どうしようもない。


 こうなる危険性はあった。

 彼女は学校でも有名な程可愛い女子だ。


 そして彼女のアルバイト先が隠れ家的な店だったとしても、学校から近い以上、生徒がきてもおかしくはない。そして彼女の事を知っている生徒も多いはず。


 少し考えればこうなる事は予測できた。

 もっと早く対策を練っていたら回避できたのかもしれない。


 そんな後悔ばかりで気が付けば朝になっていた。

 どうしても学校に行く気になれず、初めて無断欠席することにした。


 連絡する気にもなれない。

 少し寝よう、休んだら何か策が浮かぶかもしれない。

 そう信じながら俺は眠りについた。


-------------------------------------------------

高山絵美視点


 神崎君が部屋を出て行ってから私は魂が抜けたかのようにボーっとしていた。


 妹や母親から心配もされたし、アルバイトももうしなくていいよとも言われた。

 でも私は知っている。


 それだと家計が厳しいって。

 母親はまた無理をしてしまう。

 昔のように。


 それだけは嫌だった。

 でも、私が何かできるかと言えば何も浮かばなかった。


 もしかして神崎君がなんとかしてくれるかもしれないと、一瞬でも思ってしまった自分が恥ずかしい。


 これ以上彼に迷惑をかけるわけにはいかないのに。


 抜け殻のように過ごし気が付けば次の日になっていて、スマホを見ると時刻は13時になっていた。


 同時に誰かから電話がきた。

 電話番号だけ見ると知らない番号であった。

 

 少し不信に思いながらも電話に出た。


「もしもし高山です」

「あ、高山絵美ちゃんだね」

「はい、そうです」

「今すぐ学校にきてもらってもいいかな」

「わかりました」


 学校では聞きなれない声のように感じた。

 もしかして私の知らない先生かなとも思ったけど学校からの呼び出しというのなら行くしかない。

 

 私はすぐに準備をして重い足を動かして学校へと向かった。

 学校につき職員室に行くと担任の先生が私への来客がいるからと別室へと案内してくれた。

 

「失礼します」


 コンコンとノックをして私はその部屋へと入る。


「やぁ君が高山絵美ちゃんだね。まぁ座ってよ」


 部屋には校長先生と見知らぬ男性が座っていた。


「聞いたよー。アルバイト見つかって停学になってしまったんだってね」


 私の事情を知りながらも笑顔でそう話してくる男性に少しイラっとしてしまった。


「はい、そうですね。あのどなたでしょうか。申し訳ないのですが今までお会いしたことは……」

「ないよ。会うのは今日が初めてだね」

「じゃあ、誰から私の事を聞いたのですか」


 学校が私の見ず知らずの人に事情を話すとは思えない。

 だとしたらこの人は誰なのか。


 私より一層目の前の見知らぬ男性への警戒心を高めた。


「ははは、警戒されるのも仕方ないね。君のことは息子から聞いたよ。それは鬼気迫る勢いでね」

「息子……?」


 疑問で返したが、少し勘づいていた。

 私の事情をそこまで知ってて親に話しそうな人は知る限り一人しかいない。


「君の思っている通り。僕は春人の父親の神崎直哉です。息子がいつもお世話になってます」

「こ、こちらこそ神崎君にはいつもいつもお世話になっています」


 神崎君のお父さんは私の方をみて優しく微笑んだ。 

 似ている、神崎君のあの優しい笑顔に似ている。


「結論から言うと君はこれからもアルバイトを続けてもいい」

「え? でも学校は禁止していて……」

「そうだね。でもそれは原則の話だよ。ね? 校長?」


 そういうと今まで黙っていた校長先生が話始めた。


「うむ。原則は禁止だ。しかし特別な理由があるのであれば別だ。君の家庭環境は十分に特別な理由に該当する。」

「そそ! 申請すればよかっただけなんだよ」

「そ、そうだったんですね」


 モヤモヤしていたものが取れていき、同時に全身の力がぬけていった。

 神崎君に伝えなきゃ。

 安心と同時に頭に浮かんだのは神崎君だった。


「神崎君はどこにいるんですか!」

「春人は今日学校を休んでるらしい。どうせ君をどうにかしたくて一日中考えていたんだろう。普段なら怒るところだが、今回ばかりは許そう」

「そうだったんですね。でしたら、今すぐに……」

「まぁ待ちなさい。君と少しお話したいことがあるんだ。これは完全に私用なのだけれど。という訳で校長先生少し席を外してもらっていいかな」

「わかったよ」


 そう言って校長先生は部屋を出ていった。

 私は早く神崎君に会いたい一心だった。


「高山くん、君には感謝している。ありがとう」


 以外にも、神崎君のお父さんが発したのはお礼の言葉だった。


「ど、どうして……私はお礼を言われることはなにもしていません」

「いや、息子を変えてくれたのは君なんだ」

「神崎君を……?」

「そう、春人は昔学校に行くのを本当に嫌がっていた。表情からして暗くてね。親としてはどうにかしてあげないとって思っていた」


 その言葉でわかった。

 神崎君が学校に行くのを嫌がっていた理由は間違いなく私だ。

 そう思うと胸がジンと痛むのを感じた。


「小学6年生だったということもあり、中学進学と同時に家を隣県へと引っ越すことにした。これで春人の表情が戻ればと思ってね。すると驚くことに長かった髪を切って、容姿を整え勉強から運動そして家事まで一生懸命するようになった。でも、その時の春人は私の望んでいたようなイキイキとした姿ではなく、何かに執着するような、そんな顔だった。」


 私は神崎君のお父さんの言葉を聞き続けた。


「でも、小学生の時のような暗い顔がなくなっただけ前進したと思っていた。そして中学3年にあがり進路を決める時、私に地元に戻って進学したいと言い始めた。中学時代に春人が頑張ったことは事実であり勉強もほとんど1位だった。だから春人のお願いを聞き入れた。しかし、もしかしたらまた暗い顔に戻ってしまうのではないかとそこだけが私の不安であった。しかし……それはただの思い過ごしですんだ」


 そう言った神崎君のお父さんの表情は本当に嬉しそうだった。

 でも、私は神崎君のお父さんの表情とは真逆だった。

 なぜなら、神崎君を暗い顔にさせた張本人は私なのだから。


「高校に入り、何があったのかわからないが一週間たたずして私に私の仕事の手伝いをしたいと電話してきた。それも今までにないくらい必死にね。その電話から聞こえる春人の口調を聞いて、安心した。そして実際にあって話してみたら今までにないくらいイキイキしていた。明日を楽しみにしているような。そんな顔をしていた。それはきっと君のおかげなのだろう。ありがとう」


「違うんです! 神崎君に暗い顔をさせたのは私なんです! だから私はお礼なんて言われる筋合いは……」

「知っているよ。すべて君の仕業であり、君のおかげなんだ。でも、きっとあのまま生きていても春人はわからなかったものを君は春人に教えてくれた。それだけでいいんだ。」

「……」


 その言葉に私はまたしても返事をすることはできなかった。



「昨日春人が電話してきたよ。君の状況を説明して私の会社で君を働かせることはできないかと。でも色々な理由からそれはできないと断った。でも、私はうれしかった。小学生の時にあれだけ暗い顔をしても私に一切話してくれなかった春人が、すぐに私を頼ってくれた。その事実が。だからこうして私は()()()()に今日こうしてここにきている」

 

 そこまで言われて私は気づいた。

 また神崎君に助けられたのだと。


 この人は私を助ける為ではなくあくまで神崎君のお願いを聞き入れる為に動いたのだ。


「本当に……ありがとうございます」


 私は改めてお礼を言った。

 

「じゃあ、今から春人の所に行こうか」

「はい!」


-------------------------------------------------

神崎春人視点


 俺はスマホの着信音で目を覚ました。

 朦朧とする意識の中、スマホを手に取り電話に出る。


「もしもし」

「春人か。今マンション前まできている。開けてくれ」

「お、親父!?」


 予想外の相手に俺は一瞬で意識を覚醒させる。

 スマホの時計を見ると時刻は15時30分。


 ちょうど授業が終わったくらいの時間だ。


 これは完全に怒られると覚悟しながら俺は鍵を開けた。


 コンコンとドアが叩かれて恐る恐る開けると目の前にいたのはこれまた予想外の人物であった。


「神崎くーん!」

「ど、どうしたの高山さん」


 ドアを開けると同時に高山さんが俺に抱き着いてきた。

 親父はその後ゆっくりと部屋へと入ってきた。


「こ、これはどういうことなんだ親父」

「それはその子に聞きなさい」

「ありがとう神崎君。私またあなたに助けられた。本当になんてお礼をしたらいいのか」

「ご、ごめん話についていけないよ……」


 その後、今日の出来事を親父と高山さんから話してもらった。


「何はともあれ解決したんならよかった」

「神崎君のおかげだよ!」

「俺はなにもしてないよ」

「ううん。神崎君のおかげなの」


 珍しく高山さんは頑なに譲らなかった。

 でもその表情は俺が見たかったいい表情だったから俺も受け入れることにした。


 すると俺に体を預けながら彼女は急に眠り始めた。


「え? 高山さん?」

「寝かせてあげなさい。彼女も昨日から寝ていなかったのだろう。」

「そっか…… 家族の人も心配するだろうし、家まで送りたいんだけど親父車だしてよ」

「あぁ、そのつもりだ」


 親父に車で高山さんのアパートに向かってる最中、俺は彼女の寝顔を見ていた。

 本当に気持ちよさそうに寝ている。


 高山さんが笑顔でいてくれるならそれで……


「春人」

「なんだよ親父」

「いや……なんでもない」

「なんだよ気持ち悪いな」


 少ししか見えなかったが、親父は少し笑っているように見えた。


 彼女を家まで送り届けた後、俺もマンションへと送ってもらった。


「なぁ親父、今度はもっとゆっくりしていってよ」

「あぁ、今週の金曜の夜辺りに顔を出すつもりだ」

「金曜か……わかったよ」


 そう言って俺と親父は別れた。





翌日

 高山さんは結局申請せずにアルバイトをしていた為、とりあえず一週間の停学はあったものの許可も得て今後アルバイト続行することが可能になった。


 彼女がいない日々で少し寂しかったが今まで川崎ともあまり遊べていなかったし、今週は川崎とたくさん遊ぶことにした。


 そして金曜日の夜19時過ぎ。


 親父がマンションへときた。


「はいってよ」

「あぁ」


 親父が好きな唐揚げをたくさん作っておいた。

 そのほかにも、高山さんとの弁当の件で習得した料理も作り親父にごちそうした。


「春人、料理上手くなったな」

「そうかな」

「これもあの子のおかげか」

「どうかな」


 その後、他愛もない話を1時間程した後、明日も仕事の為親父は帰ることになった。


「またいつでもきてよ」

「あぁ、体調には気を付けるんだぞ」

「うん。それと……これ!」


 ここ最近、いや、昔からずっと親父にはお世話になりっぱなしだ。

 だからこそ、せめてのお礼を親父に渡した。


「開けていいのか」

「あぁ」

「万年筆か」

「親父が仕事で使ってるの見てたしな」

「大事に使うよ」

「あぁ」


 自分でも驚く程顔が熱い。

 親にプレゼント渡すのってこんなにも緊張するのかと思った。


「じゃあ、またな」

「あぁ」


 そう言って親父は帰っていった。


 さて、高山さんの停学は今日で切れ、来週からまた彼女と会える。

 いや、その前に明日だ。


 約束を確認するため、俺は彼女にLUINでメッセージを送った


---------------------------------------

神崎直哉視点


 土曜日、昨日会社にいなかったのもあり会社に出勤していた。

 急なお願いにも関わらず秘書もわざわざ出勤してくれた。


 後でなにかお礼をしなければならないな。


「あら、社長。万年筆変えたんですか」

「あ、あぁ。」

「前のより安そうですけど、前のなくされましたか」

「そうかな。私にとってはこれ以上の万年筆はないと思っているがね」


ここまで読んでいただきありがとうございます!

よければ感想やご指摘お願い致します!


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こうした方がいいよ!っていう感想も待ってます!

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