36話
いきなりですが、あと少しで本編を完結にしたいと思います。
前々からこの話で区切ろうとは思っていたので、特に完結を早めたとかではないです。
本編完結後は、もしかしたら絵美の過去や春人の両親の過去の話も書くかもしれません。
あとは、絵美と春人のその後の話ですが、そちらは定期的に上げていくと思います。
正月も気が付けば終わり、正月が終わったかと思えばすぐに3学期が始まった。
この冬休みの間になにかあったのか、顔つきが変わったものや2学期の頃から何も変わっていないものまで様々だった。
かくゆう俺はどうだろう。
みんなの目にはどうのように映ってるのだろうか。
始業式を終え、教室に戻り担任が教室に待ってる間、教室は相変わらず騒がしかった。俺と絵美を囲んで。
「高山さんと神崎君が付き合い始めたってほんと?」
クラスのみんなに囲まれて軽い記者会見のような状況になっていた。
「ええと……」
俺は絵美の助けを求めるように絵美の方を見る。
すると、絵美はすぐに笑顔になりみんなの方を見る。
「ほんとだよ!」
絵美がそういうと同時にひゅーという歓声が教室に響き渡った。
「告白はどっちから?」
「それは……俺からかな」
俺がそういうとまた教室に歓声が響き渡る。
おそらく俺か絵美が何かを発言する度にこのような歓声が響き渡るのだろう。
「わたしも神崎君に告白されたーい」
「それは高山さんの特権よ、諦めなさい」
そんな女子たちの声が聞こえてくる。
男子もまた高山さんが取られたことを悔しむ声が聞こえてる。
これを機に陰湿ないじめとか始まらないよな……
それから5分ほど記者会見もどきが開かれ、担任が教室に入ってくると同時にそれは終了した。
始業式という事で、今日は午前中に学校が終了し、俺と絵美は2人で下校していた。
絵美のバイトも再開しており、ゆっくりと家で過ごすという事はできなくなってきたがこうした下校時間など一緒にいれる時間を大切にしようという事になっている。
「今日は大変だったね」
絵美が少し笑いながらそう言った。
きっと今日の記者会見もどきの事を言っているのだろう。
「あぁ、まさかあんなことになるなんて思ってなかったよ」
「春人は人気だからね。あぁやって付き合ってると宣言しとくといらない虫が寄り付かないしね」
「なるほどな」
なんとも怖い発想をしていらっしゃる。
まぁ愛されてると思っておこうかな。
「最近は真帆と美帆のお手伝いやバイトの時給アップとかお母さんの給料とか上がったおかげでだいぶ家計が楽になってるから遊びに使うお金も結構余裕できたんだ」
「そうなんだ! よかったな」
「だからさ……」
絵美は俺の方を意味ありげな顔で見てきた。
こういう時の絵美は何かを欲しがってる時だ。
「今度どこかに遊びに行くか?」
俺がそういうと絵美はぱぁっと笑顔になった。
「うん! それを待ってた!」
どうやら当たりだったらしい。
どこかで予定を立てて遠出でもしようか。
そんな話してると早くも絵美の家に着いた。俺の家の方が学校から近いが俺はこの後特に予定もない為絵美の家までついてきたのだ。
「じゃあ、また明日だな」
「うん、また明日!」
そうして俺と絵美は別れた。
***
次の日
俺はいつもより早めに学校にいく準備をしていた。
というのも今日から登校も絵美と一緒にすることになっているからだ。
俺の家の方が学校から近いという事もあり、朝は絵美が俺の家まで迎えに来てくれることになっている。
俺が準備を完了して5分後。
インターホンが鳴り、出ると絵美がどうやら到着したようだった。
俺はすぐさま家を出て、絵美と合流する。
「おはよう絵美」
「おはよう!」
特に他愛もない会話をしながら学校へと向かった。
教室に入るまでにたくさんの生徒から見られたが、特に気にすることも無く俺と絵美は教室にはいり自席へと座る。
「おいおい、新学期からイチャイチャするね―」
川崎がからかうようにそう言ってきた。
「悪かったよ」
「いやいや、俺からしてみればもっとイチャイチャしてもらっていいくらいだ。高山さんはもっとイチャイチャしたいだろうしな」
「そうなのかな」
「きっとそうさ」
恋愛においては川崎の方が先輩だからきっと川崎の言う事はあっているのだろう。
お昼休みになり、なおも継続している弁当の交換だ。
教室で食べてもいいのだが、慣れというか体が自然と例の階段へと向かっていた。
変わったことといえば今まで時間をずらして階段へと向かっていたのを2人で向かっていることだろうか。
「久しぶりね、2人とも」
「藤崎さん、久しぶりです」
例の階段に向かう途中に出会ったのは藤崎さんだった。
「その様子だと、無事結ばれたようね」
「まぁ……はい」
俺は少し照れながらそう言った。
「私も早く見つけないといけないわねー」
「藤崎さんならきっと見つかりますよ」
あれから藤崎さんは変わった。
明らかに表情が生き生きしている。
そんな藤崎なら素敵な人がきっと見つかる。
「春人さん以上の人、そう簡単に見つかるかしら」
「それはどうでしょうか」
俺は少し笑いながらそう返した。
その後、少し話した後、俺と絵美は例の階段へと向かい、弁当を交換した。
弁当箱は俺がクリスマスの日にプレゼントした弁当箱だ。
「改めて思うと、俺達って前から恋人らしいことしていたんだな」
俺はふとそう呟いた。
「そうだよ。なのに春人何も感じてないように振舞うんだもん」
実際何も思っていなかったしな。
夏休みまでは。
それから俺と絵美は前と変わらず一緒に弁当を食べ、お昼休みを過ごした。
午後の授業が終わり、俺と絵美は一緒に下校する。
いつもの帰り道を2人で並んで帰る。
特に変わらない街並みに特に変わらない景色を特に気にすることもなく歩いていた。
しかし、俺はある人物が目に入った途端、まるで時が止まったかのように感じたんだ。
大きな病院の前にかかる橋に立っていたその人物に。
「久しぶりだね、神崎君」
その子は間違いなく俺の人生を変えたともいえる人物の1人、西条 あかりだった。
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