26話
深夜に書いたので、ただでさえぐちゃぐちゃな文が更にひどくなってるかもしれません
※きっとこの話は蛇足
球技大会。
なんてものが高校生活でも体験することができるらしい。
男子である俺たちの競技はソフトボール。
もちろん野球部ゲーであることに変わりはないのだが、1年1組である俺たちのクラスは一番野球部が少なかった。
唯一の救いがあるとすれば1年生エースの岡本がいるくらいだが、ソフトボールなので投げ方も違うのでどこまで影響力があるのかはわからない。
特に練習時間がある訳でもなく、進学校でそこまでスポーツに関するイベントに熱心なわけでもない為、ほとんどぶっつけ本番という形になる。
「男子のソフトボール大丈夫そう? 確か3組に野球部5人いるからすごいやる気らしいけど」
絵美はご飯を食べながらそう言った。
3組に5人いるという情報は知っていた。
ただ、それぞれのレベルがわからない。といっても地区大会でもそこまで上に行かないチームなので超高校生級の選手はいないだろう。
いるとしたら入る高校を間違えている。
「バレーの方はどうなんだ?」
「私達のクラスバレー部が4人いるからほとんどバレー部で埋まりそうなんだ」
「それは強いな……」
その辺の規制がほしいと思ってしまうくらいだ。
部活やってる人は何かハンデを与えるべきだと俺は思う。
その辺がアバウトな点も無関心さが出ている。
「俺たちは野球部1人しかいないからな……」
「そうだよね……ソフトの方は厳しそうだね」
「あぁ……」
ぶっちゃけ厳しいが俺はバッティングセンターには通い続けている。
バッティングだけならおそらく活躍できるが、守備が怖い。
しかし、俺のできることはひたすらバッティングを磨くのみ。
守備は俺の運動神経にまかせるしかない。
***
10月に入り、2学期も始まって生徒の気が抜けてきた頃。
球技大会の日が来た。
全5クラスのトーナメント戦。
じゃんけんで負けた2組と4組は一試合多くなってしまう形となるが、ウォーミングアップだと思えばむしろラッキーだろう。
俺たちは5組との試合だ。
2組と4組の勝った方と3組がして勝った方が決勝の相手となる。
5組は野球部が2人。
特別運動神経がいいやつはいない。
全然勝利できる可能性はある。
しかし、いざ試合が始まると俺の心配は全く不要だったものだとわかった。
俺たちのクラスと5組の試合を見てる生徒達はざわついてた。
1年生エース岡本の球が速すぎるのだ。
キャッチャーもその球を捕れることに驚きだったが、なんせ後ろに飛んでこない。
まだ1回の表だがバットにすら相手は岡本の球に当てることすらできない。
一試合5回までのルール。
あと4回もこの調子でいけば相手に点がはいることがないだろう。
自陣に戻る最中、俺は川崎に声をかけた。
「岡本のやつ球速すぎないか」
「そりゃ1年生エースだからな。今年の夏も岡本が途中まで投げてたらしいぞ。ちょっとした故障の為、途中で交代したらしいが。それまで完封だったらしいし」
「そんなにか」
悲しい事に岡本は行く高校を間違えたらしい。
「1年生ながらプロも視察にくるくらいだそうだ」
「え? まじ? 本当に来る高校間違えてるんじゃないのか」
「強豪高校行くよりも弱小校で勝ちあがる方がかっこいいじゃんって言ってたらしいぞ」
岡本、お前はどこの漫画の主人公だよ。
きっとお前は将来メジャーリーガーだろうよ。
そして、もう一つ気になることがあった。
「そんな岡本の球を捕れるキャッチャー何者なんだ」
「あいつも小中と強豪クラブでキャッチャーしてたらしいぞ。なんで野球の道をやめたのかは知らないがな」
野球部は一人しかいなかったがその一人と伏兵があまりにも強すぎた。
地味に川崎も昔野球やってて上手いし、意外と楽に優勝できるかもしれない。
予想通り、そのままボールは後ろに飛ばず、俺たちのチームはばこばこ打ちまくり気が付けば3回10点差でコールドゲームとなった。
俺もホームランを打ったが岡本もキャッチャーのやつもホームラン打つものだから、俺の影が薄れた。
ほとんど突っ立っているだけで終わった試合の後、俺たちは女子バレーを見に行ってた。
もちろん、絵美の応援のためだ。
しかし、応援など不要だった。
俺が見に行った時、ちょうど絵美が綺麗にアタックを決め試合が終わった。
結果はセット3-0
相手に与えた点数は合計で3。
一応バレー部以外の生徒も回してたらしいが、どうしてこうなったのかはわからない。
絵美は俺を見つけ笑顔で手を振ってきた。
俺も胸の高鳴りを感じながら、笑顔で手を振り返した。
その後、お昼休憩となり俺と絵美は今日も変わらず一緒に食べていた。
「男子勝っただってね!」
「あぁ、岡本が強すぎたよ」
「岡本君有名だもんね。プロに行くかも知れないって」
そんな有名になってたのか。
全く知らなかったことが少し恥ずかしかった。
「女子はボロ勝ちだったらしいけど」
「なんかボロ勝ちしちゃったね」
勢いで勝ちましたみたいな言い方だが、勢いだけであれだけ差が生まれるのだろうかという疑問はあった。
きっと見てた人は目も当てられない光景だったろうに。
2組と4組の試合は4組が勝ったらしく、午後の部第一試合は3組と4組らしい。
お昼休憩の終わった後、特にすることもなくボーっと試合を見ていた。
結果は3組の圧勝だった。
野球部組がピッチャーとキャッチャー、そして内野を守っているためなかなか点数を取ることができなかったようだ。
気が付けば次は俺たちの試合だった。
決勝ということもあり、かなりの観客がいた。
その中に絵美の姿も見えた。
俺と視線があった絵美は笑顔で手を振った。
その瞬間俺の勝負魂に火がついた。
この試合はカッコ悪いところは見せれない。
俺たちは後攻。
流石に岡本の球を打てる人は少ないのか2人とも三振で抑えた。
しかし、次から5人連続で野球部。
やはり、野球部というだけあってバットには当ててきていた。
全部ファールだからいいものの後ろに飛べば守備力が未知数なれ俺たちのチームがどうなるかわからない。
なんとか最後は三振で打ち取り、俺たちの攻撃となった。
一番は川崎。
相手の球もなかなか速く、苦戦した結果内野ゴロで終わった。
次はキャッチャーの大野。
伏兵であった大野は1回戦もばんばん打っていた。
今回も初球からいい当たりを見せ2球目には左中間を破るいい当たりを見せた。
そして次は俺の番だ。
一球目。
ばしーんといい音と共にボールはキャッチャーのミットへと吸い込まれていった。
しかしその一球で俺は打てると確信した。
バッティングセンターの最高速度で練習した成果がここで出てきた。
2球目に俺は芯でとらえ、校外まで飛ぶホームランとなった。
同時に周りの生徒達から歓声が沸き上がった。
俺はガッツポーズをしながらベースを回った。
「神崎、今からでも野球部間に合うぞ」
ホームベースを踏み自陣へ戻ろうとした時、用意していた岡本がぽつりと俺にそう言った。
その後、岡本も当たり前のようにホームランを打ち勢いはずっと俺たちのクラスのまま意外とあっけなく試合は決まった。
野球部もバットに当てるもののよくピッチャーゴロ。
俺が守っていたセンターまで一回も飛んでくることはなく、俺達1組の優勝で終わった。
***
珍しく俺と絵美は一緒に下校していた。
「春人今日ほんとにかっこよかったよ!」
「たまたまだよ」
と、かっこつけてみる。
本当はあの姿を見せるために毎日バッティングセンターに通ってたなんて口が裂けても言えない。
「そういえば女子も優勝したんだってな」
「特に危なげなくね」
無事、これ以上ない結果で終わったということだった。
「ねぇ春人、もうすぐ中間考査だよ」
「あ……」
俺はテストの存在を完全に忘れていた。
「今回も賭け事する?」
「そうだな」
全く内容を考えていなかった。
俺は腕を組み必死に何かいい賭けがないか考えた。
「じゃあ、今度からずっと勝った方が負けた方を一日連れまわせる権利でいい?」
「それでいいのか?」
絵美が言ったのは1学期の期末考査で賭けた権利だった。
「前回は悔しい思いしたからね」
どうやら前回の絶叫マシンの罰ゲームを根に持ってるらしい。
大丈夫だ、また絶叫マシンにのせてやるから。
「俺はそれで構わない」
「次、私オール100なら私の勝ちだからね」
「あぁ構わないさ」
そうして俺たちの3回目となる勝負が始まった。




