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23話

高山絵美視点

 

 初めて同級生と旅行に行った。

 修学旅行とか学校の行事で行ったことはあるけど、プライベートで行ったことなんてなかった。

 だから今回の旅行は本当に楽しみだったし、楽しかった。

 でも二日の夜を境に、春人が私に対してどこかよそよそしいというか避けらてるように感じた。

 私が何かしたわけでもないとおもうのだけれど、私はそれが不安で仕方なかった。

 

 帰りの船では、疲れてすぐ眠ってしまったけど起きてからも何か避けられているような気がしたしバスも席が遠かった。


 その時の私は嫌われたかもしれないと思った。

 そもそも私は過去に彼を虐めていたのだ。こうして仲良くしてくれているだけでもありがたい事なのかもしれない。

 ネガティブになりすぎた私はとことんダメ方へと考えていった。

 

 楽しかった思い出ばかりのはずなのに、何故か胸が苦しい。

 家に帰ってからも何も考えたくなくて、布団にくるまっていた。

 

 少し経った後、スマホからメッセージの通知音がなった。

 私は布団の中でスマホを開くと、春人からだった。

 春人の名前が見えた瞬間、ドクンと心臓が高鳴った。


 おそるおそるメッセージを開くと


『三日間お疲れ!』


 というメッセージがきてた。

 私はすぐに


『お疲れ様! 楽しかったね!』


 と送信した。

 どこか素っ気ないかもしれないと思ったけど、これ以上の言葉が思いつかなかった。

 私の事、嫌いになった? なんて聞けないし。


『楽しかったな! いきなりなんだけど2週間後にある夏祭り一緒に行かない?』


 すぐさま春人から返信が来た。

 なんと、夏祭りの誘いのメッセージだった。

 でも、さっき5まで人で楽しんで旅行したし、あのメンバーを誘うついでに私も誘ったのだろうと相変わらずのネガティブ思考だった。

 

『いいよ! みんなも一緒?』


 でも、もしかして2人だけかも、なんて思いを込めて私はメッセージを送信した。

 

『いや、絵美と俺だけだ』


 私のスマホを持つ手が震えていた。

 いや、春人とは今まで何回も二人で遊んできたし、春人からしたら今回もそこまで気にしてないのだろうけど、嫌われたと思っていた私からしたら本当に嬉しかった。

 誘われたこともそうだし、嫌われていないこともそう。


 私は嬉しすぎて布団でばたばたしてるとまた妹から「うるさい」と怒られた。

 夏祭り、楽しみだな。


 あ、そうだ返信しとかないと。

 私は少し遅れて


『いいよ! 楽しみにしてるね!』


 と返信した。

***

神崎春人視点


 絵美との約束の夏祭りまであと2週間もある。

 この2週間をどう過ごすか。

 夏休みの宿題も終わり、夏休みに入ってからは平日も親父の会社に顔を出している。

 しかし、どうにも体を動かしたい気分だったので、俺は旅行から帰ってきた次の日にまたジムに行った。


 がむしゃらに体を動かすことで何も考えずにいられた。

 これを後、2週間繰り返せば夏休みだ。

 しかしそれは、1週間ともたなかった。


 ジムに行ってる時でさえ、脳裏に絵美の顔が浮かぶ。

 一人ではだめだと思い川崎を遊びに誘う事にした。

 川崎はたまたま部活が休みという事で遊ぶことになった。


 たまにはバッティングセンターにでも行こうということで俺と川崎は自転車で近くのバッティングセンターへと向かった。


 金属バットのボールを打つかきーんという音が鳴り響く中、川崎の打ったボールの行方を俺は眺めていた。


「川崎うまいな」


 ホームラン連発……とはいかないもののいい当たり連発していた。


「小学生のころ野球やってたからな。少しはできるぜ」


 たまには川崎もかっこよくみえるものだと思った。

 川崎の番が終わり次は俺がバットを握る。

 120キロのストレート。

 いつもそれなりに速くみえるはずなのに、今日は遅く見えた。


 俺が振ったバットは芯をとらえ、ホームランへと一直線にとんだ。


「おいおい、一発目からかよ」


 川崎のそんな声が聞こえてきた。

 2人で遊んでるからだろうか。

 俺は何故か冷静でいられた。


「たまたまだよ」


 バッティングセンターを終え次はカラオケへと向かい、3時間ほど歌いまくった。

 昼から遊んだという事もあり、もう辺りは夕焼けに染まっていた。


 今日は本当に楽しめたと思う。

 友達とは偉大だ。


 俺たち何故か河川敷の芝生の上に座り夕焼けを見ていた。 

 すると川崎がいきなり口を開いた。


「いやぁよかった」

「何がだ?」

「旅行の帰り神崎少し様子が変だったからな」

「そうか?」


 残念だが川崎、俺のその病気は治っていない。

 治ることもないと思うが。


「でも、その様子だと少し落ち着いたようだな」


 俺は川崎の言葉に目を見開いた。

 俺の考えすぎかもしれないが川崎は……気づいている?


「なんだよその顔。 気づいたんだろ、自分の気持ちに」

「バレていたか……」

「当たり前だ。三日目になった途端神崎ずっと高山さんの方をきょろきょろ見てたもんな。二日目に何ががあったか知らないけど、俺はそう思ったよ」


 川崎はこういう事にはどうしてこうも鋭いのだろうか

 恋愛という面において、俺は川崎に勝てそうにないな。


「告白は……するのか?」


 川崎はそう言った。


「わからない。でも、すぐにはしないと思う」

「どうして?」

「それは……色々あるからな」

「そっか……まぁどんな考えでも俺は神崎を応援する。だから俺でよければいつでも相談に乗るから」

「ふふ」

「おい、何がおかしいんだよ」

「まさか、川崎にそんなことを言われるとは思わなかったからな。ありがとう。お言葉に甘えて今度人生相談させてもらうよ」

「おう! いつでもこい!」


 本当に、いい友達をもったな。

 そう思いながら俺と川崎は別れて自宅へと向かった。


 それから1週間の日が過ぎ、とうとう夏祭り当日となった――

 


 

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