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17話

体育大会終わりました。

もうすぐ一学期も終わりますが、一学期終わったところで夏休みというビッグイベントがありますし、夏休みの中にも色々イベントがありますよね


今年の夏、皆さんはどう過ごす予定でしょうか。なんてまだ4月になってないですけどね笑

 午前の種目が終わり、俺は約束していた通り絵美と合流しお昼ご飯を食べることにした。

 絵美と保護者席の方へ向かうと真帆ちゃんと美帆ちゃんとおそらく絵美のお母さんであろう人いた。


 絵美をそのまま大人っぽくしたようなその容姿はとても美しかった。


「お母さん、この人が神崎春人くん」

「初めまして、神崎春人です」


 俺は軽くお辞儀をして挨拶をした。


「絵美の母の高山絵里といいます。娘がいつもお世話になっております」

「いえいえ、こちらこそ絵美さんとはいつも仲良くさせていただいております」


 さて、ここから何を話すのか。

 正直何も考えていない。


「立話もなんですからご飯を食べながらお話しましょう」


 そう言って重箱を取り出しきた。


「さぁ食べてください」

「では、いただきます」


 お言葉に甘えて料理を頂くことに。

 唐揚げを一口いただくと絵美の料理と同じような味付けだがより丁寧な気がした。

 これはおそらくお母さんがつくったのだろう。


「美味しいです」

「あら、そう言ってもらえるとうれしいわね」


 その後、俺は高山家に囲まれてご飯を食べていた。


「春人さんのおかげで絵美は変りました。もちろんいい意味で」


 絵里さんは突然そう言った。


「な、なに言ってるのお母さん。恥ずかしいよ」


 顔を真っ赤にして絵美は慌てていた。

 そんな絵美をみて真帆ちゃんは爆笑していた。


「中学生の頃は、あんまり感情を表に出さない子だったんです。自分の意見を押し殺して。溜めて溜めて爆発させるような子だったんです」

「もう……」


 なんとなくわかる気がする。

 それは小学生の頃も、高校で再会した時もそうだった。

 その爆発の矛先が俺だっただけで。


「でも最近、絵美は今までにみないくらい活き活きしています。といっても遠方の出張ばかりでなかなか家にいませんが」


 俺は黙って絵里さんの話を聞いていた。


「それもきっと春人さんのおかげなんです。だって……私が家に帰ったら絵美は春人さんの話しかしませんもの。それに春人さんの話を……」

「わーわー! さぁご飯食べよう!」


 絵美は慌てて絵里さんの話を遮った。


「私も、絵美さんのおかげで変われたような気がします。それに今も毎日楽しく学校生活を送れるのも絵美さんのおかげだと思っています」

「もう……春人も……それは私のいないとこで話してよ……」

「お姉ちゃん顔真っ赤じゃん。照れてるのー?」

「う、うるさい!」


 そんなこん終始顔を赤くしていた絵美だったが、俺も相当恥ずかしかった。

 絵美の言う通りこの話は絵美がいないところでしたいものだ。


 しかし、時間が過ぎるのはあっという間でお昼休みが終わろうとしていた。

 自席があるクラスのテントに戻るとクラスのみんなの雰囲気がおかしかった。


「なぁ雰囲気が少しおかしくないか」


 俺は川崎に問いかける。


「いや、お前たちで話題になってんだよ」

「俺たち?」

「そう、神崎と高山さん。お前たち結婚でもするのか?」

「け、結婚!?」


 絵美が声を裏返して驚いていた。


「いやだって高山さんの家族の中に神崎が一人混じってご飯食べてるなんて親への挨拶も済ませたってことだろ?」

「いや、俺たち付き合ってすらないが」


 俺は即答した。

 

「そ、そうか。な、なんか悪かった。だから高山さんその殺気とめてくれない?」


 川崎は汗を流して怯えるようにそう言った。

 後ろにいる絵美の方を見るとにっこりと笑っていたが目は笑っていなかった。


 なにがなんだかもうわからん。


 そんな話をしていると、午後の部の開始のアナウンスがなった。

 午後のラストには作戦のクライマックス騎馬戦がある。


 逆にいうとそれまでは棒倒しやら綱引きやら高校生になったらそんなに盛り上がらない競技ばかりだ。

 いや、実際始まると盛り上がるのだが。


 ただそれらの競技は一人が目立つというのはあまりない。

 クラスの奴には申し訳ないが川崎にはそれまで手を抜いてもらう。

 すべては騎馬戦の為に。


 そして時は流れ、午後のメインイベント騎馬戦の時間が来た。


 川崎の騎馬は俺とバスケ部のやつ一人そして前に柔道部の巨山と言われる丸山の3人だ。

 丸山がいるだけで騎馬の安定感は抜群。

 あとは、川崎次第。


 ルールは1組、2組、3組から騎馬を7機。

 4,5組から7機。

 相手の鉢巻きを取れば勝ち。

 1機ずつ戦って勝ち残り戦だ。

 

 俺たちは1,2,3組の騎馬の大将。

 勝ち残り戦だから1,2,3組のチームが大将にたどり着くまでに終わる可能性もあるがそれは問題ない。


 なぜなら向こうのチームには騎馬を柔道部3人で固め、なおかつ上がバドミントン部の1年生エース。

 反射神経はすごい。


 そんな騎馬が敗れるとは思えない。

 もちろん俺たちにとっての強敵になることに変わりはない。

 だが、そんな高い壁を超えるからこそ川崎は輝ける!


 会場が静まりかえるなか、騎馬戦が始まる。

 途中までは勝っては負けを繰り返していた。


 途中から俺たちのチームの騎馬が勝ち始め、敵チームの最後の騎馬まできた。

 しかし、ラストはあの騎馬。


 そんな騎馬に適うはずもなく、あっという間に俺たちの番が来た。


「川崎、やれるな」

「あたりまえだ」


 圧倒的な敵を目の前にしても川崎の目はやる気に満ち溢れていた。


 教師の笛の合図とともに騎馬同士がぶつかり合う。

 流石柔道部で固めた騎馬だけあり力が強い。

 鍛えてなければ倒れていたかもしれない。


 川崎を見るとなかなか騎手の鉢巻きに届かず苦戦しているようだった。


「川崎、教えたことを思いだせ」

「あ、ああ!」


 思いだせ。俺が教えた秘儀。フェイント


 中学生の頃、格闘技を少しやっていて覚えた技術。

 左手で相手の鉢巻きをとるとみせかけて右手で相手の鉢巻きをとる。

 肝心なのはモーションだけじゃなくて目。


 騎手同士は戦っている最中、相手の目がみえる。それを利用して左手で行くと見せかけたときに目も行くぞと相手に威圧する。


 そうすることによって相手は本当にくるかもしれないと思い込むのだ。


 俺が川崎に言った、わずか1秒後。

 終了の合図の笛がなった。


「よっしゃあああ」


 川崎の雄叫びが聞こえた。

 勝ったのだ。

 同時に今日一番の歓声がクラスから鳴り響く。


 何故だか俺も嬉しくなった。

 この瞬間輝け川崎大作戦は成功した。


 あとは川崎次第だ。


 ***


 体育大会も無事終わり、保護者も帰り生徒たちはテントやら椅子を片付けている中、川崎は女の子に声をかけられていた。

 そしてそのまま二人は校舎裏へと消えていった。

 好奇心旺盛な俺はこっそりついていくことに。


 二人の様子を陰からそっと覗いていると後ろから肩を掴まれた。


「何してるの春人!」

「お、驚かすなよ絵美。川崎が女の子に声をかけられて二人で話してるみたいなんだ」

「へぇー。行動はやいねー」


 二人はどこかぎこちないが笑いあいながら話している。

 これなら心配ないだろう。


「輝け川崎大作戦は成功だな」

「そうだね。でもこれはきっかけに過ぎなかったと思うよ?」


 絵美はそう言った。


「どういうことだ?」

「あの女の子はたぶん前から川崎君の気になっていたと思う。で、今日の体育大会で話始めるきっかけになったってだけ」

「なるほどな。どちらにせよ作戦成功だ」

「よかったね」

「あぁ」


 ***


 二人の覗き見を終えて俺と絵美は教室へと帰っていた。


「ねぇ春人」

「どうした」

「もうすぐ一学期も終わりだね」

「あと1か月もある」

「1か月なんてすぐだよ。だってこの2か月も一瞬だったもん」

「確かにな」


 思い返せば色々あった2か月だったが、一瞬の出来事のようだった。

 

「なぁ絵美」

「ん?」

「期末テストも賭け事あるから。勉強しておけよ」

「えー。次は何賭けるの?」

「次は勝った方が負けた方を1日連れまわせる権利」

「ふぅーん。面白そう! その賭けのった!」

「よしきた!」


 また勉強する理由ができた。

 俺達は体育大会が終わった直後にも関わらず1か月後に迫る期末テストに闘志を燃やすのだった。


 


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