15話
今回は春人の違った一面を見れると思います。
思い返せば入学してから今日まで、色々あり少なからず俺にとっては充実した2か月だったと言える。
そしてこれからも変わらず続くと思う。
そんな充実した時間を過ごしたからこそ、俺はあるイベントの存在を忘れていた。
俺がその事実に気づいたのはある休み時間の事だった。
「なぁ神崎」
「どうした川崎」
眠たくなる授業ランキングぶっちぎり1位と生徒の間で噂の歴史の授業が終わり、背筋を伸ばしながら川崎は後ろの席の俺に話しかけてきた。
「彼女ほしい」
「いきなりどうしたんだ」
「いや、高校に入って2か月。そろそろそういう感じの子ができてもおかしくないじゃん」
「そうか。まだ早いとおもうがな」
「そりゃ、神崎は学校の2強、高山さんと藤崎さんがいるから余裕だろうけどよ」
「だから、そんなんじゃない」
「と、言われてもなぁ。説得力のかけらもないぞ」
つい先日、絵美と藤崎さんの戦いを見た後に言っても確かに説得力はない。
が、本当にそんなのじゃない……と思う。
「来週の土曜日にある体育大会でもしかするときっかけを掴めるかな」
「体育大会ねー……え?」
来週の土曜日に体育大会あるなんて初耳だぞ。
「まぁ、あんまり話題にならないからな。ここも一応進学校で運動より勉強って奴の方が多いし」
俺が中学時代にモテる為に意識したイベントの一つ、体育大会。
中でも、騎馬戦、リレーはアピールできるチャンスだ。
でも、高校ではそんなにモテなくてもいいかなと思っている。
もちろんモテたら嬉しいが、一番の目的がなくなったからな。
なら、ここはひとつ。
「川崎、体育大会頑張ってみるか」
「どういうこと?」
「その名もは輝け川崎大作戦だ」
「もう嫌な予感しかしないぞ」
今日は月曜日、そして体育大会は来週の土曜日。
ほぼ二週間もある。それだけ時間があれば成長できるはずだ。
「そういえば川崎、部活に入ってたよな?」
「あ、あぁ。バスケ部にな」
「そうか。それは好都合だ」
バスケ部なら体力もあるだろう。
体幹も鍛えられてると仮定すると輝け川崎大作戦は成功するかもしれない。
そう、体育大会で川崎を活躍させ、目立たせる。
そうすれば少なからずその日はちやほやされるだろう。
あとは川崎の腕次第だな。
「そうと決まれば作戦会議だ。今日の夜は川崎の家に泊まるぞ」
「何が決まったんだ? なぁ神崎の心の中で何が決まったんだ?」
あたふたする川崎も無視して俺は輝け川崎大作戦の成功を誓った。
お昼休み。
結局、教室だと周りがうるさいという事でいつも通りあの階段でご飯を食べていた。
ただ、少し変わったのは2,3日おきに藤崎さんも参戦するという事。
絵美も初めは少し嫌がっていたが、徐々に受け入れていった。
そして、今日は絵美との二人。
俺は絵美に輝け川崎大作戦の内容を話していた。
「確かに体育大会でかっこいい姿を見るとキュンてしちゃう気持ちはわからなくもないかなー」
「やっぱり俺の作戦はありだな」
「まぁ、その一日だけだけどね……でも川崎くん顔は悪くないしそんな事しなくても大丈夫そうだけど」
一日で十分。
一日川崎をモテモテにすれば後は川崎次第。
もちろんこの作戦は本人の努力、頑張りが一番だ。
そして放課後、川崎の部活が終了する時間が過ぎた後、川崎の家へと向かった。
「お邪魔しまーす」
「おぉ上がってくれ」
川崎の部屋へと上がり、俺は早速作戦内容を伝えた。
「川崎! モテたいか!」
「お、おう」
「じゃあ、俺が望みを叶えてやる。その為にはお前の努力が必要不可欠だ。ついてきてくれるか?」
「なぁ神崎、まずは内容を教えてくれ」
「そうだったな。絵美にも話したがやはり体育大会で活躍する男子はモテる。つまり川崎も活躍すればモテる。で、体育大会、目立てる競技は騎馬戦、そしてリレーだ。この二種目で活躍すれば大丈夫だ。そこで! これから体育大会まで毎日、早朝練習を行う!」
「早朝練習?」
「そうだ! 騎馬戦に必要な要素は体幹、そして瞬発力だ。リレーは主に坂道ダッシュ。これらを早朝に行う。大丈夫だ、俺も手伝う!」
「神崎……まるで人が変わったように熱血だな。まぁお前のそう言った一面も見れて嬉しいよ」
自分でも不思議だが変にやる気スイッチが入った。
こういう事たまにないだろうか?
それに早朝の走り込みは俺が中学生の頃に少ししていた。
ちなみに作戦はこれだけ。
練習あるのみだ。
「さぁ。それでは明日の朝から開始だ!」
明日に備え、今日は早めに寝ることにした。
そして鳥のさえずりと共に目を覚まし、久しぶりの早朝の走り込みにやる気が満ち溢れていた。
「さぁ起きろ川崎。朝だぞ」
「もーちょっとだけー」
抵抗する川崎の布団を強引にはぎとる。
「お、起きてるからー!」
「今日も学校なんだ。時間は限られてるぞ」
「鬼監督め……」
嫌々準備をしてようやく外にだした。
まずはストレッチして坂道ダッシュだ。
川崎の家の前がちょうど50Mくらいの坂道があるのでちょうどいい。
ストレッチを終え、まずは俺から走る。
久しぶりの坂道ダッシュとはいえ、日頃から鍛えてるおかげかむしろ前よりも楽に感じた。
「よーし次は川崎の番だぞー」
「へーい」
流石バスケ部だろうか。
それなりに早く走り息切れもしていない。
「よしじゃあ後10本だな」
そして坂道ダッシュを終えた。
やっぱり朝の坂道ダッシュは気持ちがいい。
「なぁ神崎。お前運動もできるのか」
「まぁ日頃から鍛えてはいる。川崎も筋トレしたら楽しさに気づくぞ。変な中毒性がある」
「そうか。とりあえず神崎は万能すぎることはわかった」
それから毎日俺たちは早朝の練習を行った。
部活もあるせいか、川崎は授業中ずっと寝ていたが体育大会が終わった後、祝勝会として授業内容を教えてやろう。
そして来るべき体育大会の時がきた。
なんとか騎馬戦の大将と、リレーのアンカーをもぎ取り準備を万全。
川崎の目のやる気に満ち溢れている……たぶん。
成功させる。輝け川崎大作戦
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