GOLD-END WEEK
光るものすべてが黄金だったなら
黄金に価値はなくなるというのだろうか
順序を決めたがるだけの巡礼者は
変わらないことを怠慢と呼び
河原で石を積むものたちへ足を振り上げる
光らない鈍色の石の塔を他愛もなく突き崩す
ぴかぴか光るのは月の光か勲章か
群青の空に激昂する正義感は試験紙のようだ
償いを罪だと認識するならば
どれだけの潔癖を万人に強いるのだろう
鉄壁の番人は己を滅して人権を献上せねばならぬ
締め付ける健常はそうしてまた罪人を欲するだろう
支離滅裂なのは継ぎ接ぎだからだよ
背中を向けている自分が見えているんだろう?
見えているんだろう、はっきりと
どの週末も終末めいている
生殖なき聖職者の罪を暴き立てては
まるで子孫を残さないことが正しいとでも言うように
AIはそろそろ予言するのだろうか
友愛と平穏は並び立たないことを
人類の処理速度では難しすぎるということを
幽明な夢を忘却させるように
脳の装置は何もかもを上書きしてしまう
沙雨の早朝の亡霊は防衛本能に消却される
なんて不確かな記憶の中で
正しさを信じるものの脆弱さよ
正しさを信じられないものの衰弱よ
地獄の住人は自分は天国に住んでいると思っている
善意なき平和を俺にくれ
善意なき平和を
心の傷の大きさは三重に見えず
鏡写しで歪曲するのは現在認識に時差があるから
自作のY極は原罪の儀式で虚像を示すだけ
ちらつくテレビを何度も殴り
都合がよくなるまで威嚇する正義感は顕示のようだ
彼らはそうして正しいことに少しでも近付くのだ
メッキの値段で黄金が買えると思っている
天国への階段を買おうとしているあの女のように
光るものすべてが
光るものすべてが黄金だったなら
善心は全身を輝くものへと漸近させる
物質的な価値と等価交換させられるものへと
魂の天秤の重りをずらす
光の重さを知らずにいるから
人類の処理速度では難しすぎるのだから
いつかこの体が光になるとき
黄金はもはや意味をなさない
価値の順列から解放されるときなのだから
光るものすべてが黄金だったとしても
己が光ならばすべてが光っているだろう
黄金が光っているとき心は鈍っているのだ
積み上げる川原の石さえ光るだろう
すべての罪が光るだろう
光の速度を処理できたなら