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『コラボ小説』異世界異聞譚  作者: 黒田純能介
9/9

case.2

タッタッタッ…


再びリージュを背にしたまま布津は道を駆けていた。


「そんなにいしょがなくてもいいんでないでちか?」


背中のリージュが布津に問う。


「む」


不具合があったかと、布津が速度を落とす。


「何かまずいことでもあったか?」


「ううん、ただはじめてきたからいろいろみてみたい」


リージュは容姿相応に目を輝かせて周囲を見やる。


回りは高層ビル群。オフィス街の真ん中。

リージュはいいと思えど、その場に不釣り合いな幼女と金髪仏頂面の男はあまりにも『浮いて』いた。


「すまないが…」


また今度に、と言いかけた所で、


「おぉーい!」


と、声がかかる。


周囲はまだ日中の為か大勢の人間が行き交う中、誰を呼んだものか分からなかったが、


「純能介~!」


思わず身を固くしたが、自分を呼ぶ聞き覚えのある声。周囲を見回すと、声の主が居た。


「…何故ここにいる」


布津は呟くと、観念したように声の主に向き直る。


…人混みをかき分け、ようやくその人物は布津の前に立った。


「おぉ~」


背中のリージュが小さく声を上げる。


「敷島。北海道はどうした?」


布津は目の前に現れた女性、敷島(シキシマ) 侑子(ユウコ)に疑問の目を向けながら問う。


「あぁ、ツンツンがな、たまには長期休暇でも取ってこいとか急に言い出してな?ほんで折角だから東京見物でも行ってこいーて」


敷島は満面の笑みを浮かべながら答えた。


「…そうか…痛いぞリージュ?」


素っ気ない返事を返す布津に、不服を顔に浮かべながらリージュが布津の頬をつねる。


「んで?その子どうしたん?」


対する敷島は疑問符を顔に浮かべながら問う。


ハタ、と気付き、


「まさか…隠しg…」


「断じて違う」


間髪入れずに布津が遮る。


「まだ全部言うとらんのに…」


せっかちやなぁ、と敷島が口を尖らす。

ぶーぶー、とリージュも背中で口を尖らせていた。


「…この子は迷子だ。ただ少し訳ありでな。アジトへ連れていく」


声のトーンを落としながら耳打ちをした。


「なんや、ヤバい話?」


「まぁ…ほうだな」


顔をつねられ過ぎて布津の顔が変形を始めていたが、構わず続ける。


「休暇ひゃらこの辺りは避けたひょうがひひ。しゃわがしくなりそうひゃからひゃ」


「はやくこのおねーしゃんにわたちをしょーかいしなしゃい!」


大層不服そうにリージュが布津をつねりながら語気を荒げる。

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