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『コラボ小説』異世界異聞譚  作者: 黒田純能介
8/9

case.1


「ん?お~い」


前方から人影が手を降りながら近付く。


「む」


「むー?」


リージュが布津の真似をして眉間に皺を寄せる。


果たして、前方からの人物は皇であった。


「皇か」


布津は速度を落とすとゆっくりと近付く。


「よお、今日は休みじゃなかった…その子どうしたんだ?」


「あぁ、まいg…」


「まさか隠し子か!?」


布津が言い終わる前に皇が詰め寄る。


「お前は何を言っているんだ」


真顔で布津が返す。


「なんだ」


つまらなそうに皇が唇を尖らせる。


「まいごでもないでち」


次いで、布津の背中でリージュが抗議の声を上げる。

律儀に皇の真似をして唇を尖らせた。


「お前らな…」


ひきつった顔の布津を尻目に、二人が会話を始める。


「キミかわぅぃぃね~!いくつだい?」


「ちゃらおにこたえるとしじゃありまちぇん」


「つれなぁーい!」


何処のチャラ男とナンパされてる女子か、と内心思いつつ布津が口を開く。


「皇、裏葉はアジトに来ていたか?」


「ん?あぁ、何か買い出しに行くとは言ってたけど、じきに戻るんじゃないかな?」


「そうか」


「確かピータン在庫切れしてたーとか言ってたぞ」


またも布津の顔がひきつる。


「ピータン…帰らなくていいか?」


「何でだ?」


「いや…アレ苦手でな…」


若干青ざめながら布津が返す。


「いや、俺に聞くなよ…つかその子、どうするんだ?警察にでも連れてくのか?」


「む、いや…」


「まさか誘拐でもし…」


バキッッッ!!


「なんで何も言わずに殴るん!?」


女の子座りしながら皇が頬をさする。


「お前が人聞きの悪い事を言うからだ」


青筋を立てて布津が怒りの籠った眼で皇を睨む。

背中ではキャッキャッとリージュが手を叩く。


「ごめん…」


目に涙を浮かべながら皇は謝罪を口にすると、やおら立ち上がる。


「んじゃあ、アジトに連れてくのか」


「訳アリだ。やむを得ん」


皇は頷くと、携帯を取り出す。


「分かった。裏葉ちゃんには早く戻るよう伝えておく。気を付けてな」


ニッ、と笑うと携帯を発信する。


「頼んだ」


短く答えると、布津は歩き出す。




「あれはおなかまさん?」


背中のリージュが問う。


「…あぁ。必要な仲間だ」


「そう…」


リージュはそう言うと目を伏せた。

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