相対す
(やべぇ…マジで追い付かれる…)
男が諦めかけた時だった。
トコトコと小さな幼女が向かいの路地から出てくるのが見えた。
(!…しめた!あのガキを使って逃げてやる)
男は口の端を吊り上げると、真っ直ぐに幼女へと向かう。
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(まずい)
金髪の男、布津は焦っていた。
自分が追っていた男が路地に逃げ込んだまでは予想していた。
だが、その先の展開までは読めなかった。
突然幼女が先の路地から歩いてきたのだ。
(あの子供が捕まるまでに奴を…間に合わんか!)
布津は内心舌打ちをする。
もう既に男は幼女の側へと近付いていた。幼女は状況が掴めないのか、キョトンとした顔をしている。
(チィ…)
男にたどり着くのが間に合わないと悟ると、集中力を高める。
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「ふぇっ?」
近付いてきていた男に抱えあげられる。
「おとなしくしろ!」
耳元で大声で叫ばれ、幼女は顔をしかめた。
(五月蝿いわね…消そうかしら?)
と、思った矢先に金髪の男がすぐ近くまで来ていた。自分を抱えている男がナイフを取り出し叫ぶ。
「来るんじゃねぇ!このガキがどうなっても良いのか!?」
金髪の男はピタリと立ち止まると、男を睨み付ける。