後日談【怪談は廻り続ける】
「わぁ、ここが新しいお家!?」
そう言って小さな少女が指差したのはとある十階建てマンションの最上階にある一室。つい先日空き家となった部屋だ。
「まぁ、前より広いだけでマンションなのは変わらないんだけどね」
随分と若い母親らしき女性は、苦笑しながら少女に答える。
「うふふっ、広そー!」
「こらこら……」
立派な玄関を見てその先の光景を想像する少女。はやくはやく! と催促された母親は先程管理人から受け取った鍵を取り出し鍵穴に差し込んだ。
ガチャリ。
新居に足を踏み入れた二人が目にしたのは、リビング中央に置かれていたソファである。
「あら、随分良いソファね」
ーー前の方が残していったものがあるので気に入ったら使ってください
母親はソファに触りながら管理人の言葉を思い出して言葉を漏らす。少女も少女でぼふっ! とダイブしたりしてそれを楽しんでいるようだ。
「ふかふかぁっ! あれ、おかーさんそれなぁに?」
「……はい、プレゼント」
そう言って母親がバッグから取り出したのは金髪で西洋の服を着た人形だった。
「かわいー! なまえはなんていうの?」
ーーえーっと、メリーさん、だって
ソファやマンションの階数で後日談の意味が伝われば嬉しいです。
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