夢の跡
目を開けると、ナギとパラスが目に入った。ナギは泣いていた。私はベッドの上に寝かされているようだ。
「お姉ちゃん、どうして泣いているの?」
「あなたが目を覚まさなかったらどうしようと思って……。それに、私、あなたにひどいことを……」
「何も気にしてないよ。だから泣かないで」と私が言うとナギは涙を拭いた。
「確かパラスさんに胸を刺されて……それで……」
「胸を刺した? あなた、一体どういうこと? 私のアルテミシアは大丈夫なの? 傷口を見せて?」さっきまで泣いていたのが嘘のようにナギは怒ったり動揺したりしている。私の服をめくり、胸に傷がないことを確認した。自分の胸をまじまじ見ると未だにどきっとする。
「アルテミシア、怪我はないわ。大丈夫よ。だからゆっくりおやすみなさい」
私はナギの頭を軽く撫でた。そしてパラスに聞いた。
「あれは夢だったのですか? 夢の中にあなたが出てきて一緒に話したのですが」
「君の胸を刺した短剣、これは魂の短剣と言って、胸に刺すことで自身の魂と対話する道具なんです。刺した本人、今回の場合は私、も一緒に君の心の表層に行くことができたというわけさ。奥底まで侵入するには、もっと大掛かりな道具が必要なんだけど、対話の機会を設けるくらいならこれで十分です。
魂の中であなたに話したことについては、真実だという確証はありませんが、私は真実だと思っています」
「そう」というと私はナギを強く抱きしめた。
「お姉ちゃん、ありがとう」
ナギはにへらーっと笑った。
「それで本題なのですが、君の中の獣、名前を名乗っていませんでしたか?」
「名前、ですか? なぜそんなことを聞くのですか?」
「これは大事なことなのです。よく思い出して」パラスは私の疑問を無視した。
私とパラスはしばらく見つめあったが、パラスにひくきはなさそうだ。おとなしく答える。
「名前を呼んだら助けるとは言われたんですが、名前は名乗っていませんでした」
「そうですか、他には何か行ってませんでしたか?」
「『イラ』『怒髪天』『ハシラ』などと呼ばれると、意味はすべて『憤怒』」
「パラス、私の妹の中には何がいるの?」ナギが口を挟んだ。私に甘える顔ではなく、真面目な顔だ。
「『憤怒の獣』、本体か一部かはわかりませんが、それが混ざっているようです」
「まさか……」とナギ。
私には意味がよく分からない。
「この世界のものならざるあなたに神話をお伝えしましょう。アルテミシア」
神話についての語らいは島に着くまで続いた。
この話からしばらく、神話パートに入ります。
神話パートの後は、
1、魔法使いの島での、ナギとアルテミシア姉妹のイチャイチャ修行
2、衣通姫とナギの過去編
3、別の登場人物による、神聖メア帝国内部の話
このいずれかを書こうと思っています。
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