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水島クレオと或るAIの物語  作者: 千賀藤隆
第三章 大停電
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夜半過ぎ

真理が水島のマンションに着いたのは夜11時過ぎだった。復旧したとはいえ、車は低速で走ることを強いられ、50キロの道のりに2時間かかったという。疲れ切った真理はシャワーを浴びると倒れるようにベッドに入った。水島も疲れを感じ、シャワーを浴びるとすぐに横になったが、中々、寝つけない。


「このソーラー・ストームの規模って、どのくらいなんだろう?」

「今回のソーラー・ストームは1859年のキャリントン・イベントの2倍の規模になると予測されています」

「キャリントン・イベントの2倍・・・。僕の生前、もし、キャリントン・イベント級のソーラー・ストームが来たら、世界の文明は19世紀に逆戻りしてしまうと言われていたが?」

「水島さんの生前と違い、ソーラー・ストームに対する対策は施されています」

「キャリントン・イベントって、凄まじいメガ・ストームだったんだよね?その2倍の規模なんて、起こり得るの?」

「幾つかの研究によると、8世紀に起きたソーラー・ストームは、キャリントン・イベントの十倍以上の規模だったと報告されています。もちろん、当時は電線も電話線もないので、被害はなかったとされますが」

「ふむ。・・・メルクーリは、どうなってるんだろう?」

「メルクーリ・ジャパンでは、重篤で特殊な医療設備が必要な患者以外は、自宅等へ避難するよう勧告が出ました。ヒューマノイドの医師や看護師にも、メルクーリ所有のもの以外は、オーナーの元に戻るよう指示されました。なので、私は、ここにいます」


そう言って、クレオは人差し指で水島の鼻をチョンと触れて微笑んだ。


「上杉先生は?」

「メルクーリに残っておられます」

「医師や看護師は、何名、残っているのかな?」

「人間の医師は、上杉先生含めて3名です。その他、ヒューマノイドの医師12体、薬剤師2体、栄養士1体、メルクーリ所有の看護師15体に、重篤な患者160名が所有する、145体のヒューマノイドが看護師として残っています」

「ええと、12に2に1に、15足して、145足すと、え〜と、全部で175体のヒューマノイドがいるのか。随分、たくさんいるねぇ?」

「ほとんどが患者さんのヒューマノイドですが」

「停電になったら、病院のエナジー・ストレージで何時間稼働できるんだろう?」

「72時間です」

「フム。それを超えると人間の医師3人のみ?」

「いえ、燃料電池系の非常用発電システムがありますので、備蓄してる燃料だけでも、さらに一週間は稼働可能と思います」

「病院食は、どうなってるんだろう?」

「緊急用の食料は1週間分の備蓄があります」

「一週間、僕らと同じだね。まあ、備えありだね」


  水島は、いつの間にか眠りに落ちた。ソーラー・ストームの第2段階は、夜半過ぎに地球にやってきた。そして、あらゆる人工衛星を破壊しまくった。


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