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明日は我が身となるもの

 2日後、マックスの鳥たちがやってきた。が、さすがに帝都から飛んで来たので、疲労困憊しているため、一日休ませた。その後にダンジョンを探す。3日後、ダンジョンは見つかった。砦に続く街道沿い。その中の遺跡の中にあった。いくつかの建物がそのままダンジョンになっている。


 マックスは、ダンジョンの周囲には、ゴブリンやトロル等の魔物がうろついている。魔物が増えている。と報告した。


 それは、このダンジョンは4m級の魔物を産み出せることを意味する。同時に、ダンジョンの急所、ダンジョンコアまで魔鎧騎が進めることになる。ダンジョンコアは、魔物を産み出せる機構も兼ねるからだ。


 砦では、魔鎧騎グラムの整備と随伴歩兵の準備が行われていた。大型の騎車と、小型の騎車二台。グラム六騎のうち三騎を使って牽引。随伴歩兵は三台の騎車に分乗する。大型騎車は、現地での基地とし、小型騎車が、長期化したときの物資運搬を行う。砦の防衛は、大型ロッドスタッフを運搬してきたグラムを使う。


 ちなみにエースたちは、砦の資材を使って、騎車の改造を行っていた。グラムの腰部マウントに繋げられる三番目の引き棒を増設したのだ。


「進歩してるのねえ~ これなら、ロッドスタッフ使うことができるわねえ~」


 アリサがしみじみ言う。エースもそれに、相槌を言う。


「腰部にホルダーが追加されていたのはこの為だったのか。やっぱり外国暮らしが長いと進歩に乗り遅れる」


 そこに、ダンジョン攻略の指揮をとっていたモブスがやって来た。


「騎車用の追加腰部マウントはいかがですか。騎車の安定性が向上しますし、何より非常の際に両手が使えるようになりますからね」


 ところで、と、モブスが話し出す。


「実務はこちらがしますので、エースさま、攻略の指揮官になってください。流石にレーベルディン候爵様の嫡男がいるのにわたしがトップにいるのは体面に悪いです」


「別に良いだろう。第一、私はメイシアを助けに行かなければならないんだ。皇帝の勅命だ」


「とはいえ、街道の直ぐとなりにダンジョンがあります。大量の魔物が出てきてます。単独では、通過も難しいと思っていますが」


「いや、皇太子と言う奴が隣にいるだろう」


「ぶひは、無理ぶひ。この姿だとアルベルトと認識してもらえないぶひ。第一、ぶひはエースつきの武官と言う肩書きになっているぶひ。名前だけぶひ。頑張って張り子の指揮官するぶひ」


「しかし、戦いになるとグラム消耗するし、ただてさえアリサ姉さんうるさいし」


「あたりまえよう~グラムどれだけ整備させるの~? 本来、魔力反応合金なんかの素材は、魔力が十分なら自己再生するからメンテナンスフリーなのよ~ どれだけ使っているかわかるでしょう」


 ジと目でにらむアリサ。それに対してあわててモブスが弁明した。


「その点はご安心下さい。本日は仮拠点の設置と強硬偵察です。ほとんどルーチン化してますから、特に指揮、運用は必要ありません。まあ、グラムを使ってますから、ダンジョン攻略に参加はしてもらいますが、主

に警備です。あとは、レーベルディンからダンジョン攻略部隊が来ますので、彼らが来れば一週間もかからずダンジョン攻略できますよ」


 エースは、少し考えて返事をした。


「わかった。大将やるよ」


「がんばるぶひよ」


「ああ、頼りにするぜ。アルベルト」


 モブスは、安心した様子でため息をついた。


「じゃあ、あとは、出発ですね。準備してください」


…………………………


 街道の、ダンジョン近く。森の中に道が出来ていた。木を薙ぎ倒しただけの雑な道。そこに、ゴブリンが多数いた。随伴歩兵が大型騎車から降り、スタッフ=ウエポンを構えて魔法攻撃を行う。風の法弾を受けたゴブリンはきりさかれ、殲滅される。随伴歩兵は更に止めをさして解体。魔石を確保する。


 それから大型騎車を中心に簡易宿所を設営。エースは、その状況を見守っていた。


 だけてはなかった。


「マックス、ダンジョン周辺はとうだ」


「かなりの数の魔物がいる。ああ、ゴブリンとトロルがほとんとだ。すごくひしめきあってる」


「ダンジョンは、やっぱり建物か?」


「ああ、二階建ての角ばった建物だ。俗に言う異世界風の建築たな。あまり大きくない」


 マックスの報告に、エースは少し考える。


「イリス、マックスとリンクして魔力感知してくれないかな。魔物の配置が知りたい」


「ん、わかった」


 そして報告を受ける。魔物はダンジョンの周辺に多い。内部はそれほどでもない。と。


「モブス、設営が終わったら、強硬偵察だろう」


「はっ、そうです」


「少し頼みがある。あと、アルベルト」


……………………………………


 ダンジョン周辺。お飾りの指揮官エース。その配下の実質的指揮官モブスは、あきれていた。


「あれだけの魔物を……」


 周辺に、密生していたトロルやゴブリンは、すでに倒れ付し、地みどろで生きている。気配ひとつもない。魔鎧騎と随伴歩兵が、まだ息がある魔物を殲滅してまわっている。


「ありがとう、アルベルト」


「人使い荒いぶひ。これでしばらく魔力が、打ち止めぶひ」


「流石に帝国の切り札だよな」


 エースは、ダンジョンの近くまで来ると、アルベルトにダインスレイブを使ってもらったのだ。ウインドライブを発動し、超音速でダンジョン周辺を何度も通過。トロルやゴブリンが、いかに魔力力場を持とうとも、ダインスレイブの突撃には耐えられず、また、衝撃波によりかなりのダメージをうけた。もしアルベルトが、効果範囲を狭くしていなければ、被害は、もっと拡大していただろう。


「じゃあ、ダンジョンに突入する。バーン、ついてきてくれ」


「え、エース様、単独行動するんですか?」


「いや、随伴歩兵を少し貸してくれ。ダンジョン一階を探索してくる。余裕があれば更に潜る。マックスとイリスによれば、せいぜい四階層のダンジョン。しかも主力の魔物を外におくほど狭い。上手いこといけは、今日中に殲滅できるかもしれない」


「わかりました。では、小隊を送ります」


 モブスは、諦め顔で部隊を編成した。バーンが部隊を統率する。エースはグラムを正面にむけ、あるきだした。バーンたちは、少し間隔をあけ、ついていく。


 エースは、正規の玄関は避け、側面に空いた穴から侵入しようとグラムを進めた。正面玄関は、少し天井が低く、グラムを屈ませなければならないからだ。それに瓦礫が多く、足場も悪い。通りにくそうだった。


 側面の穴は大きく、グラムも充分入れた。エースはその穴を通る。


 そして、エースのグラムは、床を踏み抜き、奈落の底へと落ちて行ったのだった。

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