#5 聖剣と魔剣【永遠の命】
よろしくです。
1/3
ミノさんたちを家の中に入れる。
とりあえず、まずは部屋割りからだ。 独身の人は、1部屋2人。 家族なら1部屋というかんじだ。 ……で、恋人同士も1部屋だ。 夜、うるさくしないように。
とまあ、そんな感じで部屋を割り振ったら20部屋中、12部屋が埋まった。 で現在、空室の残り8部屋は何かあった時の為に空けておくことにする。 この空いている部屋も毎日、換気をして掃除をするように伝えておく。
人が住んでいないと、家は傷んでいくと聞いているからね。
ちなみにこの部屋のクオリティの高さをみてミノさんたちは喜んでいる。
何といってもアスナが頑張ったからな。
それはそうと、
オレは、ミノさんいやこの世界の人たちの家での暮らしがわからない。 その為、普通の人の家には何が必要であるかなどしらない。 まあ知らなければ聞けばいいんだけどね。
「ミノさんたちって部屋に何か必要なものってある?」
「服を入れる大きめの駕籠か箱が1人1個あれば嬉しいです」
「ベッドや机は?」
「ベッドって何ですか?」
「う~ん、寝る場所?」
「寝る場所でしたら、床に藁か布があれば充分です」
「机は?」
「机って何ですか?」
「さっき、食べる時に食器など置いてあった台」
「おぉ、あれは素晴らしいですね、あったら便利ですね」
「じゃあ、今まではどこで食べていたの?」
「だいたいおかずは1つなので手で持って食べてましたね」
「置く場所は?」
「床ですよ」
ミノさんたちにベッドは必要ないらしい。 まあ日本人もベッドが来るまでは、畳の上で寝ていたのだから同じようなもんなのだろう。 それにベッドがないと、部屋を広く使えるしな。
そしてこの分だと、この世界に紙はあまり普及していないだろうな。
だが、これってミノさんたちだからか? それともこの世界の常識? う~ん……。 要検証だな。
さてと、家具作りをするか!
「よし、とりあえず机というよりは、ちゃぶ台にするか」
「おぉ、あの台を頂けるんですね?」
「いや、もうちょいミノさんに合わせたのを作る予定だ」
「ありがたい!」
おぉ、ミノさんたちノリノリだよ。
とりあえず、一度外に出てアスナに地面に絵を描いてみる。
地面に絵を描いたのわかりにくかった為か三回くらい作り直し、ちゃぶ台が出来上がった。 このちゃぶ台、広さは畳半分くらいで脚を折りたためるすぐれものだ。 他に箱の代わりに箪笥を用意した。 引き出せて場所を取らないということでちゃぶ台同よう大変喜ばれた
結局、部屋の家具はちゃぶ台と箪笥の到ってシンプルなものだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
ミノさんたちは、喜んで新しい家に入っていった。 とりあえず今日のところは、自分の住む部屋で少し休むとのことだ。
いっぱいある藁を渡して、オレもまた塔へと戻ることにする。
フレイやアクア、そしてドラゴンの王の所まで行ったシルフが帰った時に喜ぶようにオレはプリンを作ることにした。 もちろん、アスナにもご褒美の意味を込めてだ。
何故にプリン? と思われる方は異世界勉強が足りない。 プリンとカラアゲそしてマヨネーズは、日本……いや地球の秘密兵器なのだ! これでみんなイチコロなのだ! 茶碗蒸しはダメか? ダメなのだよ! たぶん甘くないから。 じゃあ何故に甘くないカラアゲはいいんだ? それは知らん! このテンプレを作った人に聞いてくれ!
ちなみにマヨネーズを作ると、神になれるらしい。
とりあえず、オレはこの三つは完璧にマスターしてある。
他に和食なら自分の家でも作っていたから多少いける自信がある。
ただカレーだけは無理。 はじめのルーで挫折した。
……と、まあそんな感じで今回は精霊も妖精も(多分)大好き、みんなのプリンを作ることにする。 残念ながらカラメルがないので、蜂蜜でも上からかければ代用できるはずだ。 みんなもとの味を知らないハズだから。 オレ的には、少しほろ苦いカラメルが好きなんだが、砂糖がないのだから仕方ない。
あっ……牛乳もない。
アスナに頼んで、先ほど別れたばかりのミノさんに生しぼりの牛乳をもらいに行ってもらう。
その間に大きめの鍋に水をはる。 そして火をかける……うむ、火の元がない。 仕方ないのでアスナを待つ。 アスナが新鮮な牛乳をもらってきてくれたので、鍋に火を点ける。
ちなみに精霊なアスナは部門違いだが、そこいらの火の精霊よりも火の魔法も扱えたりする。 精霊王は一味違うらしい。
せっかくなので、プリンの容器をアスナに作ってもらう。
そして牛乳と卵、ハチミツを加えて混ぜて、プリンの容器に入れる。
火をつけた水をはった鍋に容器を入れて蒸す。
しばらくすると、
「良い匂いがします」
アスナが目をキラキラさせて言った。
プリンの容器を取り出して、お湯を捨てる。
その鍋に氷を入れて、またプリンを入れて冷ます。
・
・
・
夜、みんなが集まった時にプリンを出した。
そしてオレの称号が変わった。
称号:精霊を惑わすモノ。
えーー!
ちなみに、シルフは色んなモノを手に入れてきた。
それは後々出てくる。
◆◇◆◇◆◇◆◇
みんなでプリンを食べ、少し落ち着いてから、お出かけ組の報告を聞くことになった。
まずフレイから報告を聞く。
フレイは、この塔から見える街に行った。
「ここから、近い街はカモウという。 人口は、五千人くらいの街だ」
「結構大きい街だな、で人口はどうやって調べたんだ?」
「いや、役所の人間に聞いたから多分間違ってないぞ。 はじめ門番に聞いてみたら、門番がすごい勢いで走って行って、しばらくするとまたすごい勢いで役所の人間が来て、色々説明をしてくれたぞ。 私が近いうちに大切な人と来るっていったら紹介状もくれたぞ、ほら」
オレは確信した。 イヤでも絶対にオレは目立つと。
よく異世界小説の主人公が力やら何やらを隠して目立てないようにするとあるが、オレは知っている。 そう! すぐにばれてしまうことを。 しかも大抵、自分が原因でばれるのだ。
その際、テンプレ的に大問題が発生するのだ! 魔物の群れが襲来やら、貴族や王族の子どもが攫われたから救ってくれとか。
オレは考えた。 テンプレが起きなければみんな幸せなんじゃないかと。
だからオレは、異世界小説を研究した。
今回のテンプレ回避は、はじめから、こんな物騒な人と関わってはいけないくらい力を示さばいいのだ!
ただ残念ながら、オレの力は平凡だ。 だがそれを補っても、あり余るお供がいる。 そうあり余っちゃうのだ。 補うなんてレベルじゃないのだ!
フレイ、アクア、アスナ、シルフである。
なんといっても、この精霊の王さまたちが、そっぽを向くと魔法が使えなくなるのだ。
しかもオレは、ドラゴンの王の威を借りる平凡なモブAなのだ。 だが、ドラゴンを連れていけば、オレにからむ奴なんてバカな奴はいない筈だ! しかもドラゴンの王である。 100mとでっかい。 もし、からむ奴が居たら、踏み潰してもらおう。
ギルドに登録することもしない。 だから力を利用されることがない!
エルフや獣人の可愛い受付さんに出会うテンプレがないのは残念だが、この美人さんたちと結ばれる確率は20%くらいしかないのも知っている。 まあ平々凡々なオレになど興味が湧くと思われないが見る楽しみがなくなるのが残念である。
そう! オレは、問題になりそうなことを極力排除して安心安全で楽しい異世界生活を送ってやるのだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「よし!イザとなったら、お前たち頼んだぞ!」
「おう、わかった!」
フレイが凛々しい。 アクアやアスナ、シルフも頷いている。 よし! 何かバッチリな気がしてきた。 うん? オレ……ただ街を見に行って買い物をするんだよな? あの街を征服する訳じゃないんだよな?
「ところでフレイ、あそこの街はどうだった?」
「大きかった!」
「それで?」
「それだけだ!」
……。
街に人口が五千人居る。 街は大きい。 そして、騒ぎのもとになりかねない紹介状を手にいれた。 これは当然使わない。
フレイ、やっちまったなぁ~。
◆◇◆◇◆◇◆◇
オレは、フレイの報告を聞いて疲れていると、アクアが冷たい水を持ってきた。
「うん、ありがとう。 じゃあ次にアクアの報告を聞こうかな」
「はい。 では今持ってきた水を少し飲んでみて下さい」
「ああ、そうだな。 せっかくだから飲ませてもらうよ」
「はい。 ふふふ」
「?」
何故、オレが水を飲むといったら少し笑うんだ? とりあえず飲むけどね。
!!!!
何じゃ~、この水! これを甘露といえばいいのか。
何かすっごい美味いぞ! それに何か力が漲ってくる!
うん? 何か指にあったささくれも消えているぞ!
「私が《コタロウさまだけ》の為に作った水です。 コタロウさまの為に、私の気持ちを込めさせて頂きましたが」
「アクアの気持ちを込めた……?」
「はい。 私の溢れる《愛》を込めてこの水を作らさせて頂きました」
「《愛》を込める? そのアクアの愛を込めると、そんなに美味しくなるのか?」
「はい。 私の《愛》を込めると美味しいだけでなく、疲れも怪我も何もかも治す効果があります」
おいおい! これって、ゲーム終盤で売っている高価格回復薬のエリクサーじゃないのか? オレはその水を毎日、いや料理にも使うからすげー勿体ないことになるんじゃないのか?
「なあアクア、これって普通に飲んだら勿体なくないか……?」
「コタロウさまにでしたら、もっと気持ち溢れる水を提供出来たら良かったのですが、残念ながら私には、これが限界です。 ただこちらの水を飲むと細胞が毎日元気になるので、老いや寿命などの縛りはなくなります。 一生、私たちと一緒に生活出来ます」
すげー! オレ死なないよ。 一生というか死なないなら一生って言わないよな? ……てか、コレ毎日飲んじゃって大丈夫なのか?
「アクア、この《溢れる愛の水》なんだが、これって色んな意味で大丈夫なのか? ミノさんも飲むんだぞ」
「ええ、それでしたら、ミノさんたちは違う水を用意しています。 だって《私の愛が溢れる水》をミノさんが飲んではいけないでしょ。 うふふ」
ヤダ、アクアが少しコワイ。
「じゃあ、ミノさんたちの分は?」
「それでしたら、地下にある水脈から水を引きましたから問題ないです。 溜め池も作りました」
「さすがに温泉を料理や畑の仕事には使えないからな」
「はい。 そこらへんは問題ないです」
ちなみに、オレの水は特殊な水瓶で生成され、いくら使っても尽きることがないそうだ。
彼女を怒らせては絶対にダメだ!
賢いオレは、そう学んだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇
オレがアクアから貰った水を飲んで少し精神的な疲れを癒していると、オレの気持ちも知らずにクルクルと楽しそうに踊るシルフを見つけた。 彼女はオレとずーっと一緒が先ほど確定されたことに気を良くしてクルクルと部屋の中を飛び続けているのだ。
次は、彼女の報告か……。
実は一番聞きたいようで聞きたくないパンドラの箱のようなものだ。 彼女は確かドラゴンの王の所へ行ったのと、その帰り道に何かここで育てられるようなものを頼んでいたんだっけ? 不安だけど、少し楽しみだな。
「シルフ、こっちにおいで!」
「はーい!」
返事は100点満点だ。 だがオレは結果を重視する。
アクアみたいな過剰な結果はいらない。 そう普通でいいんだよ、普通で。 テンプレいらないからな。
「シルフ、サザナミさんの所へ行って何かいいのあったか?」
「聖剣ムラマサムネと邪剣エロイムエッサイムを持ってきたー」
おいおい! 何か怪しいものを持ってきたー!
オレは平穏無事に日々を過ごすんだよ! お前は、オレに世界でも征服させたいのか? ……と、思いながらも少し気になる自分がいる。 仕方ないだろ、中二病なんだから。
とりあえず装備をしてみようかな。
◆◇◆◇◆◇◆◇
コタロウ
種族:人間
レベル 6
知力 15
武力 5013
魔力 10
魅力 25
スキル:鑑定
称号:精霊に愛され死もの
装備:
E聖剣ムラマサムネ
E邪剣エロイムエッサイム
◆◇◆◇◆◇◆◇
なんかすごくチートな武器を手に入れた!
もう物語でいうと終盤の武器だよコレ!
そして、称号がコエーよ!
精霊に愛され『死』ものになっているよ。
この『死』ってかなり不吉じゃないか?
なあシルフ、おいシルフ……目を逸らすなよ。
「アクアちゃん、おっかないから……」
シルフがボソッと言ったのをオレは聞き逃さなかった。
アクアか……。
「シルフ、他に何か普通の物はなかったのか?」
「うん! 面白いの見つけたよ。 なんというか野菜に付けると美味しいの?」
うん? オレが手にしたのは味噌だった。
「シルフ、お手柄だ! じゃあ黒っぽくサラサラした調味料はなかったか?」
「う~ん……これだけ?」
そこまで都合よくいかなかったが、上出来だ。
ただ、あの二本の剣どう扱ったらいいんだ?




