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精霊の王  作者: 蒼稲風顕
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核心へ【異世界なろう団地】

宜しくです。

 異世界なろう団地を作ると決めてから1週間、ついつい毎日ゴロゴロしてしまった。

 そろそろ禁断症状が出てきているので、早速なろう団地を建設せねば。

 とりあえず、アスナに団地を作ってくれるようにお願いをする。



「アスナ、すまんが頼んだ!」

「出来ました!」



 早い、早すぎる。

 後ろを向くと確かに4階建ての団地が出来ている。

 少し昭和な感じを醸しだして何とも良い雰囲気だ。

 そもそも何故知っているんだろう?


 アスナに聞くと「白蛇の目から見たことあるんで」との返答が……

 あれーー?

 これってもしかして……



「みんな集合!」



 急に気になった点が山ほど出てきたぞ!

 



「みんなにちょっと聞きたいんだけど、オレって君たちにこっちの世界に来るように呼ばれたの?」

 まずは、ここからだ!

 オレはてっきり自分の意思で蛇を追ってこの世界に来たと思ったんだが、よくよく考えるとオレの性格からいって蛇を見たらすぐ逃げる。 まあ爬虫類が大好きな人なら追いかけると思うが、オレは残念ながら蛇をそこまで愛していない。

 何故にその時に限って蛇を追いかけたのか、その心境が自分で言うのも何だが変なのだ。

 そこを解決せねば!



「そうだ、ひょっとして気付いていなかったのか? だからすぐに迎えに行っただろう?」

 と、フレイが何を今さらみたいな感じで言う。

 ふむ。 確かに初めて会ったときに「もとから助けるつもりだったし」と会話にあった気がするし、あんなに都合よく、精霊王が居るなんて超絶的幸運の持ち主でもない。

 それこそ違う小太郎ならありえるが。



「そうです。 急にどうなされたのですか?」

 と、アクアが心配そうな目でオレを見る。

 確かに今まで、その件に対して今まで何も触れなかったのに急にどうしたんだろう、この人的な感じになるのも無理ないな。 何せ今まで普通に生活をしていた訳だし。



「コタロウさんを呼ぶのは、生まれた時から決まっていたのです!」

 と、アスナが手をグーにして力強く力説する。

 何か変なことというかキーワードっぽいのを貰ったぞ。

 「おぎゃー」と生まれた時から、こっちに来るのが決まっていたとな?

 ふむ。 確かに、この状況を自然に受け入れている自分がいるが、ひょっとしてオレって勇者か!

 この世界を救って頂きたいというテンプレがひょっとして……こないな……。

 だって、勇者の剣である「ムラマサムネ」と魔王の剣である「エロイムエッサイム」を標準装備しているもん。 そして、それらをやっつけたトカゲくんにトカゲくんをパシリにしている精霊王がいるし。



「そーそー、コタロ~と会うのを楽しみに待っていたんだよ」

 と、シルフがそう言うが。

 何故にオレ? という疑問が湧く。

 平凡で心も特に清くも濁ってもおらず、特殊な技も使えないオレが何故にこの世界にお呼ばれしたのだろうか? 気になるな。



「どうして、オレをこっちの世界に呼んだというか、何故オレなんだ?」

 最後はヤッパリそこに落ち着くのだ。

 聖人君子でもなく勇者でも天才的な科学者でもない。

 イケメンでもブサメンでもなく、一般人の枠からはみ出していないのだ。

 完璧な中間人間なら基準として呼ばれたというのもありだが、得手不得手もある。

 ハッキリ言って微妙なのだ。自分で言うのも悲しいが。



「そりゃ、コタロウだからだよ」とフレイが。

「コタロウさま、だからに決まっています」とアクア。

「コタロウさん、最高です」とアスナ。

「コタロ~、人気だね」と知らんわ、シルフ!



 結果、よくわからず。

 もう諦めた。 よくわからんが生まれた時から好かれていたのがわかった。

 でこっちに招かれた。

 まあオレも不満はないし、精霊も喜んでいるから、それでいいじゃんということに。

 なし崩し的な流れだな。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 さて、オレの疑問が少し晴れたところで、先ほどの出来上がった建物(団地)を見てみようとのことに。



「アスナ、中を見ていいか?」

「勿論です。 コタロウさん」



 みんなもオレの後に続いて入る。

 1階は、まだ決まっていないとの事なので2階から見てみることになった。



「アスナ、2階って何部屋あるの?」

「はい。 10部屋です」



 と、いうことは全部で30部屋になるんだな。

 2階を家族やカップル用にする。

 3階を独身女性用にして、4階を独身男性にすればいいかな。

 とりあえず部屋の広さを見て、3階と4階の部屋の数を変更すればいいかな。



 6畳と4畳半の部屋と小さい台所にトイレにお風呂。

 6畳は、フローリングタイプで、4畳半は畳だ。

 どこから畳出した! と思ったら、畳風だった。

 世の中にある~風ってやつだ。

 畳風だから畳でない。 ただ臭いはしないが感触的には畳だ。

 奥が深く、需要のない存在だ。 あの臭いのない畳など、かなり物足りない存在だ。


 とりあえず、この部屋を見本とすべく、家具を調えておく。

 6畳の部屋には、本棚、机を2つとイス2脚を用意する。

 4畳半の部屋は、クローゼットと押入れを作る。

 台所には、テーブルとイス4脚と食器棚を用意する。

 最低限、これだけあれば生活出来るだろう。


 次に、3階と4階の部屋を少し変えることに。

 6畳部屋と小さめの台所だけにする。

 6畳の部屋の家具は、本棚、机、イス、押入れを用意する。

 台所は、2人用のテーブルにイスを2脚でおしまい。

 それ以上、置くと引っ越す時に大変になるからね。

 部屋を小さくした分、10部屋の所を16部屋に増数にした。

 で、共同のトイレを設置し、シャワー室を作った。


 で、1階に銭湯サイズのお風呂を作る。

 運動不足解消とストレス解消の為に、ジムを作る。

 物書きをしている際に、無性に身体を動かしたくなる衝動があるので、ジムは必要だ。

 他に15mほどの温水プールを作り、卓球台とビリヤードを作る。

 この卓球台とビリヤード台は住民のコミュニケーションにでも活用してもらえばと思っている。

 他に、広めのリビングルームと少し大きめの台所を作る。

 他には、書庫置きも作る。

 この書庫置きは、この世界で買った書物を置く為用だ。


 他に管理人室を作り、管理人夫婦を雇うつもりだ。

 管理人さんには、この団地を管理してもらうのと食事を作ってもらうつもりだ。

 一応、各部屋には台所もあるが、こちらでも食事を取れるようにする。

 ただし、こちらは時間で食事をするので、寝ていたりしたら諦めて貰う他ない。

 その場合は、自分の部屋で料理して食べればいいのだ。


 とまあ、建物が出来上がったので住民を探せさければいけないんだが、どうしたもんか?

 オレがウンウン唸っていると、アクアがそれに気付いた。



「コタロウさま、何か悩み事ですか?」

「異世界なろう団地を作ったんだが、どうやって住民を集めたらいいかとな」

「コタロウさま、異世界なろう団地って何ですか?」

「いや、オレは娯楽的な小説が好きなんだけど、この世界にはそういったの、あまりなさそうだろ?」

「そうですね、あまり文字も読める人が少ないので、そういった物が少ないですね」

「少しはあるのか?」

「はい、貴族の女性向けの物が少しありますよ」

「どういったものだ?」

「勿論、恋愛ものですよ」

「冒険談的なものは?」

「昔話みたいなのならありますが」

「やっぱないよな~」



 確かに日本でも紫式部が書いた源氏物語みたいなのはあるが、あまり冒険談的なものは少ないよな。

 やっぱりオレが立ち上げないといけんな!



「アクア、オレはこの世界でいっぱい小説を読みたい!

 オレは、小説がないと生きていけないのだ! だからアクア協力してくれ!」

「コタロウさまが生きられない……。 大変です!!」



 アクアがオレが生きていけないという事で少しパニクっている。

 まあ実際は、死なないが死ぬほど退屈しそうだから黙っておく。

 本当に死なないのは良いことかどうかはさて置き、あの水はスゴイな、本当に。

 だって眠気まで取れちゃうんだからな。 これから寝る前に飲むのは止そうと、昨夜思ったよ。

 それはさて置き



「とりあえず、色々な地方や色々な種族を集めたいんだ。

 出来れば少し学のある人が望ましい」

「わかりました。 みんなと相談して集めます。

 任せて下さい。 精霊はこの世界に散らばっているのであまり時間がかからずに集められる筈です」

「じゃあ、悪いけど頼んだよ」

「はい! コタロウさまが死なない為にも全力で頑張らせて頂きます」



 シルフに頼んで塔に戻って、少し眠くなったので三時間ほど仮眠を取って目が覚めると、何やら塔の外からザワザワと話し声が……。

 まさかなーーーって思ったら、塔の下には結構な数の人が。



「コタロウさま、お目覚めになられましたか?」

「ああ……。 で、もしかして?」

「はい。 コタロウさまがお亡くなりになってしまわぬよう全力で人を集めさせて頂きました」

「それで、このザワメキか?」

「もしかして、声でお目覚めになられたので?」

「いや、起きたら声が聞こえたんでな」

「良かったです。 もし煩くて起きたのでしたら、少し教育を……」

「いや、全然問題ないから! で、オレはそれくらいで起きても怒らないし……ほら! アクアの水があるから全然大丈夫だから、あまり過剰に反応するな、な?」

「私の水……。 はい、わかりました。

 私の水……私の水……」



 と、アクアの水があると一言口にしただけで、アクアの機嫌は最高潮へ。

 これで被害者は出ないだろう。 出るとしたら恩恵に預かる人が多いくらいかな。

 ほら? あそこの人たちが泣いてアクアを拝んでいる。

 きっと病気かケガなどを治して貰ったんだな、きっと。

 オレにさえ関わらなければ慈悲深い精霊の王さまだからな。

 まあ、オレが褒めれば更に慈悲深くなり、自分が幸せだから他人にもお裾分け精神が強くなり、良い循環になるんだよな。

 反対に怒らせたりすると、すごく大変そうだが。



 と、まあ塔の下の人たちが、アクアの慈悲深い行動によって、すごく受け入れられやすいそうなので早速行ってご挨拶でもしようかな。



「シルフ。 オレを下に降ろしてくれるか?」

「コタロ~起きたの? 今行くから待っててね」

「おう!」

「おまたせ~。 アクアちゃん、機嫌良いみたいだけど、何かしたの?」

「いや、アクアの水を褒めただけだが」

「なるほどね~。 アクアちゃんってコタロ~だけにはメロメロだから」

「まあ機嫌の良いお陰で、雰囲気も良いから問題ないだろ?」

「でも、私たちも褒めて欲しいな~」

「お前達には、いつも感謝してるさ。 ただ上手く伝えられてないみたいだから、今夜にでもシルフも当然含めてお礼を言うから後でいいか?」

「うん!」



 シルフはそう言うと、オレを静かに下に降ろした。

 普段からそうして欲しい。

 さて、これからどうやって、この団地の説明をここに集まった人たちに説明をするかね。

 そして管理人さん、どうしよう……。

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