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精霊の王  作者: 蒼稲風顕
13/17

日常風景【過ぎ去りし日々】

宜しくです。

 -猫姉妹-



 猫姉妹のチャムとカリンの1日は、アクアに用意して貰ったカツオ節かけご飯を食べることから始まる。

 顔を洗う?着替える?それは朝ごはんを食べた後だ。 ごはんが最優先! 捨てられた姉妹にとってはごはんの大切さは何よりも優先されるのだ。



「幸せにゃー」

「朝はオカカが最高」



 だからこそチャムとカリンは、ここに来て3日目の朝を迎えるが毎朝オカカご飯を食べれて非常に幸せなのである。

 猫姉妹は食事が終わったら、着替えてミノさんの所に行ってお手伝いをする。


 馬とロバの世話だ。

 一昨日、牧場に馬とロバが来た。

 で早速、昨日からミノさんに馬とロバの世話を教わったのだ。


 具体的な世話というと、馬とロバを馬用の風呂に入れて洗って、ブラッシングをする作業だ。

 買ってきた馬もロバも昨日入った温泉がとても好きなようだ。

 残念ながら猫姉妹は、温泉が少し苦手というより、水が少し苦手だ。 だけど、仕事だからしないといけない。


 慣れない世話と苦手な温泉。 だけど、ここには「お魚」と「おかか」がある。 しかも今日は、新しい魚があり、頑張れば夕ごはんの食卓に上がるそうだ。

 慣れない世話も苦手な温泉も魚に比べたら何のそのだ。


 少し古くなって破れた布で、ゴシゴシと馬の背中を洗う。 洗われている馬も気持ち良さげだ。

 頑張れアタシ! と心で応援をし、更にゴシゴシと洗う。


 丁寧に洗うけど、夕方には何時も通り汚れて帰ってくる。

 馬もロバも畑仕事をしているので仕方ない。

 戻ってきたら、またゴシゴシ洗う。 朝だけでいいんじゃない?心の中で少し思ったが口には出さない。

 夕ごはんにお魚が減ると困るから。


 汗をカキカキ、ゴシゴシと馬とロバを洗う。 すごく疲れる。

 でも夕ごはんの為だと思うと頑張れる!


 その頑張った結果夕飯は、かれいだった。

 うん! 美味しい! 妹のカリンも口いっぱいに頬張って食べている。

 今日も一日、頑張った。

 働いた後のご飯は美味しいな!と、少し眠いチャムは思うのだった。


 えっ? 馬とロバを洗う時以外は何をしてたのって?

 そりゃ、蝶を追い回したり、お昼寝をしてたりしてたよ。

 お日さまの下でのお昼寝は最高だよ!


 仮題【猫姉妹の華麗なる一日】





◆◇◆◇◆◇◆◇

 -コタロウ-



 本日は、休養日だ。

 何もしたくないので、料理をするのも勿論、放棄だ。


 結果、朝ごはんは、アクア特製のスペシャルドリンクを作って貰ったという訳だ。

 味と食感は、32アイスから出ているメロン味のシェイクに似ている。 一般的にアイス屋と思われるが、シェイクもなかなか美味い。 ただハンバーガー屋のに比べると値段がかなり高いけど。


 メロン味のシェイクを飲みながら、アスナ特製のベッドでゴロゴロする。

 何といっても異世界に転移した使命などのしがらみがないからな。 オレは、この幸せにめいっぱい享受するつもりだ。 本来「会社辞めたい」「ゴロゴロしたい」「何もしたくない」を旗印に生きてきた人間だ。


 ただオレは、活字中毒なんだよな。

 1日、10万字は小説を読みたいんだよ。 勿論、学術的なものでなく、娯楽的な作品だ。

 この世界に、それがないから苦痛だよなー。 どうしたもんかなーと考え……ないんだよ、これが。


 ないなら、作ろうホトトギスだ! 今日は、ゴロゴロ日だから動かないが、明日からは、動こう。

 そして異世界で作るんだ。 名付けて「異世界的小説家になろう団地」を。 そう、オレの娯楽を満足させる為の団地だ。


 色々な種族を集めて、自分たちの種族の成り立ちやら、伝説を物語調で書いて貰うのだ。 無論、住む所や食事もきちんと提供するし、面白かったら特別に精霊王に頼んで何かプレゼントをしてもらう。


 ……で、ずーっとじゃ大変だろうから、2年契約し、それ以降は1年毎の更新にすればいい。 で、団地を出る時に金貨若しくは、それに準じた物をプレゼントすれば、何の問題もなしだ。


 精霊王たちも、暇つぶしになりそうだし、悪いことなしだと思う。

 あ~、ゴロゴロをしていると、そういった特に世の中の為にならない微妙なことが後から後から浮かんでくる。


 他にもシルフに全国のお土産を買ってきて貰い、品評会を開いたり、フレイによる世界一武道会を開かせてみたり。 とめどなく適当なアイデアが浮かんでは消え、スポーツ大会もいいなぁとも思ったり。  まあ、いずれ出来たらというか、多分出来るんだけど、今のところ気力が湧かないなぁとだらけてみたりして。


 そんな風に思いながらも小説家団地の事だけは本気だったりする。

 活字中毒者に活字がないのは、本当にツライんだよ。

 1日の終わりにゴロゴロ寝そべりながら、小説を読むというのは本当に至福なんだよな。


 ダメ人間でもいい!この些細な幸せが何より欲しい。

 その為なら、少し頑張ってもいいと思うのだ。

 よし! 明後日から頑張ろう!

 今日? やらんよ。 だってゴロゴロすると決めてたもん。


 仮題【休養日】





◆◇◆◇◆◇◆◇

 -テツドウ-



 三年ほど前から、抜け毛が気になり始めた。

 そして、コタロウ殿に会って、砂漠化が一気に進行した。

 頑張れ! 私の毛髪!


 でもダメ~っと、朝起きたら結構な量の抜け毛が枕もとに……。

 先日い精霊王さま方と会って、脂汗をいっぱい掻いたから、きっと頭皮の環境が悪くなってゴッソリと抜けたんだ。 少し悲しくなりつつも髪を拾い集めて、そっと外に出て庭に埋める。

 『そっと』と『外』に出ての洒落が堪らない……ぷっ……。

 家の使用人に変な目を向けられた。(←髪を埋めながら笑っているオッサンだから仕方ない)


 髪を上質な油でセットをして朝食を食べに行く。

 部屋に行くと、すでに妻と娘が待っていた。

 妻ロゼッタ34歳、娘ロゼリーヌ16歳。

 私の大切な家族だ。


 まず妻に会うと、「あなた、最近疲れていませんか?」と、私の頭を見ながら言う。

 そして娘に「お父様、少し休まれた方がよろしいですよ」と、同じく頭を見て言う。


 どうも私の健康状態は、頭の毛の良し悪しで計るらしい。

 だが、このままだと二年ほどで私の毛髪は死滅するだろう。

 そうなると、私も一緒に死んでしまうのだろうか? 不安いっぱいである。


 そして私が大丈夫だった場合、彼女たちは、今後どこで私の健康状態を把握するのだろうか?

 それは聞きたくたくもあり、怖くて少し聞けない、そして私にとって、とてもデリケートな部分でもある。

 自分で言うのと、他人(家族もこの場合は含む)に言われるのは、違うのだよ。

 本人が言っているから、私も言っても大丈夫と思う人もいるが、それは断じて違う!!それを理解出来る人が他人を気遣える人であり、言っちゃう人はKYな人なのだよ。

 (KY=その場の空気の読めない人)


 だが! だがだが!! 私にも青春が戻ってきったのだ!

 精霊王のアクアさまからの魔法で頭髪がフサフサになったのだ!

 砂漠から一気に森林まではいかないが、林あたりに!


 家に戻ったら妻と娘から、ずーっと頭を見られたが全然苦痛にならない。

 そして、ぽっこりお腹も少し凹んで体調も至って良好だ。

 昨日の自分とサヨナラとまではいかないが、悩みが減ったのは嬉しい。

 まあ、この悩みが減っても、違う悩みが浮上してくる訳なのだが。

 コタロウ殿も戻られたし、私の気疲れするという事もなくなる。


 ザッツ・グレイト!


 ……だが。

 翌日から妻と娘だけでなく、「軍事のレイザー」と「内政のミシェル」にどうして、こんなに若返ったのかと根掘り葉掘り聞かれるのだった。

 まあ優越感でいっぱいだったが。


 仮題【蘇えりし青春】

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