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精霊の王  作者: 蒼稲風顕
12/17

牧場へ行こう【馬とロバを飼う】

宜しくです。

 昨日の予定通り今日は、牧場に行く日だ。

 今日もテツドウさんと一緒だ。

 待ち合わせと時刻は、門の前で時間は十の鐘が鳴る頃。 10時くらいだと考えて欲しい。

 この街では二時間の間隔で鐘が鳴る。

 ちなみに朝は鐘は六つから鳴り、夜は八つまで鳴るとのことだ。 それ以前だと住民の睡眠の妨げになるのと、八時以降はもう寝る住民が大半だからとのことだ。


 牧場での買い物は、馬だけじゃなくロバも買う予定だ。 ロバは過酷な環境でも強いからね。

 とりあえず少し金貨を補充することにした。

 金貨200枚、およそ1000万円相当だ。 少し重いが流石にシルフに浮かせて貰うのはどうかと思い自重する。

 ちなみに金貨1枚は500円硬貨を1.5倍にしたくらいの大きさだ。


 あとオレは、ファンタジー世界だから、あの何でも入って時間が止まっての万能袋を期待したのだが、どうやらこの世界には、そんな便利な物はないらしい。

 ないから諦めるしかない。 他の主人公は作る?って、まあ普通のオレには残念ながら無理な話だ。



 少し話がずれた、馬とロバのところまで戻る。

 オレは、この世界の馬やロバの値段は当然の如く知らない。

 ただ住んでいた日本と違い、生活に特別なものなものでないので、日本よりは高くない感じがする。 ロバも同じ感じだ。 ロバは馬の半値から1/3くらいじゃないかと思っている。

 ちなみにオレの求めている馬は、競走馬みたいなスマートで足が速いのでなく、足が太く馬車など引っ張っても安定する力強いものだ。 街中で使うことが少ないと思うので『ばんえい馬』みたいなのが欲しいのだ。


 ロバに関しては、まあ普通のロバだ。

 若く丈夫なのが欲しい。

 馬2頭とロバ4頭くらい買おうと考えている。

 買った馬とロバのお世話だが、ミノさんたちに頼むことになった。

 昨日の夜、誰が世話をすると思いだして、慌ててミノさんに聞いたところ問題ないとのことだ。

 その代わりロバはミノさんも自由に使っていいという事にした。

 ミノさんはしきりに恐縮していたが押し通した。

 ふむ。 とりあえず、準備が出来たので出発だ。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 門の前には30分くらい前に着いた。

 テツドウさんがまだ来ていないので少し待つことに。

 昨日も居た門番さんだったので、これから行く牧場のことを少し話ながら待つことになった。

 どうやらこれから行く牧場は、門番さんも何度か行ったらしいので詳しく話を聞くことができた。


 場所は、この街から馬車で二時間くらいした所にあるとのことで、門番さんの一押しは、爽やかな甘みのするチーズケーキと少し酸味の強いヨーグルトとのことだ。

 という事は、チーズケーキがあるならチーズもあるという事がわかり少し興奮する。

 ピザいけるんじゃないの! マルゲリータ当確だ。

 門番さんの話では、馬の他にも牛や羊、ヤギ等も飼われているとのことだ。

 とりあえずミノさんが居るから牛は必要ないな。 肉もイノシシもどきくんのお肉が残っているしね。

 ただ羊の羊毛があれば少し買うかな。

 ミノさん所にお土産として持っていこう。

 ちなみにオレの服などは、アスナが一手に引き受けてくれるので必要ない。

 門番さんと牧場の話で盛り上がっていいたら、馬車が見えた。

 門番さんにお礼を言って話を切り上げる。



「遅れて申し訳ない」

「いえ、私たちが早く来たので問題ないです」



 精霊たちも門番さんの一押しのヨーグルトとチーズケーキのことが聞けたので不満はないようだ。

 早速、テツドウさんの馬車に乗り込む。

 昨日改良したので乗り心地抜群だ、手を加える必要がないのですぐに出発した。


 馬車に乗って30分くらいすると、家がポツリポツリとなり1時間もするとほとんど家が見当たらなくなった。 時折、野生の鹿やタヌキが見える。

 と、そこに熊もどきさんが出たので戦闘開始だ。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 熊モドキ(コタロウ命名)

 種族:ガルン

 レベル.45

 知力 4

 武力 94

 魔力 2

 魅力 4

 スキル:ベアークロー 噛みつき



◆◇◆◇◆◇◆◇



 多分、熊だし強いんだなぁと思う。

 テツドウさんは、青い顔をして馬車で丸くなって何か祈っているし。

 ただオレ的には、自分の装備がバグっているせいか、残念ながら全然脅威に感じないのだ。

 ふむ。 とりあえず、やっつけた方がいいのかな?

 熊肉、欲しいし。

 そう思っていると、アクアが颯爽と馬車から降りて熊に立ちはだかる。



「クスクスクス……、コタロウさまに歯向かうの? まあ魔獣ですから脳が足りないのですね」

 あ……、怖いアクアが出てきた。 オレは感じないがテツドウさんが先ほどよりもガタガタ震えているよ。


「アクアちゃん、最近これ多いね」

 シルフがボソリとそう言った。 シルフに「昔からああなの?」って聞くと、ここ数千年はなかったのだけど、オレと会ってから頻繁に、この怖いアクアちゃんが出るようになったらしい。


「アクア、コタロウもあたしも食べるんだから宜しくな!」

 フレイがそう言うと「あらじゃあ、あの魔獣はコタロウさまに食べられる為に出てきたのですね?」とツッコミ満載な勘違いをしていると、機嫌を良くした。 あれ、アクアって賢いよな?と思っているんだがオレがらみだとポンコツになるらしい。


「アクアさん、毛皮を敷物にしたいのであまりキズを付けないで下さい」

 アスナが、もう戦闘後の話をしている。 ただオレも熊の敷物はいいな。 「オレも欲しいな」と言うと、アクアがすごいニコヤカな表情で熊モドキに向かっていった。



 結果、その五秒後に熊モドキは倒れた。

 見た感じ生きていそうだが、よく見ると5cmの厚さの氷に覆われている。

 しかも、この氷は溶けないのだ。 見た感じ水晶の中にいる感じである。 アクア恐るべしである。


 そして何故かオレのレベルが上がった。

 何かしたのか? いいえ、オレは馬車に座っていましたよ。

 ちなみにオレは上がったが、テツドウさんは上がっていない。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 コタロウ

 種族:人間

 レベル 16

 知力 45

 武力 112,533(33:本来の値)

 魔力 10,030(30:本来の値)

 魅力 80

 スキル:鑑定 物理無効 属性無効

 称号 精霊のご主人さま



◆◇◆◇◆◇◆◇



 う~ん。 多分、オレ強くなったんだと思うよ。

 ただ装備品が凄すぎて、実感が全く湧かないけどね。 それに戦闘もしていないし。

 実際、イノシシモドキ君と会って逃げた記憶しかないから仕方ないと思う。

 そして称号が【精霊の旦那さま】からご【精霊の主人さま】に変更されたのだが、果たして何か意味をなすのかも疑問だ。

 

 とりあえずは、馬車の中で丸まって青い顔色をしているテツドウさんに状況を説明する。

 テツドウさんが馬車から出ると、熊モドキ君の氷の彫像が……。 腰を抜かすテツドウさん。 時間を掛けたくないのでオレが触って、もう大丈夫なことをアピールする。


 とりあえず、ここに置いておくのも、どうかと思うのでシルフに塔まで運んで貰うことにした。

 シルフがちょっと本気を出せば往復に10分もかからない。 テツドウさんに待って貰ってというかアクアに腰を治療して貰いながら待つことに。


 ちなみにアクアは、オレが何かを頼むとご機嫌だ。 オレに必要とされるのが嬉しいらしい。 ただ時々、それが間違った方に行くのが問題なのだ。 だからテツドウさんの治療を丁寧にしている。 テツドウさんの髪が少しフサフサになっているのも気にしてはいけない。


 ただ馬やロバを安く買えそうな感じだ。 ナイスだ、アクア。

 シルフが戻ってきて、牧場に行く馬車の中では、終始テツドウさんがニコニコしていた。

 良かったね、テツドウさん!



◆◇◆◇◆◇◆◇



 牧場に行く道中、熊モドキ君に襲われたり、テツドウさんの髪がフサフサになったりと軽いイベントはあったが、無事牧場に着いた。

 牧場は少し拓けた所にあり、広さは東京ドーム5つ分くらいだろうか。 かなり大きい。


 オレたちが着くと、牧場主が挨拶に来て案内をしてくれるそうだ。

 とりあえず、物事がスムーズにいかせる為に、ここに精霊王がいるから、嘘は通じないし万が一、故意に騙したりすると、この国は今後魔法が使えなくなるかもしれんよ。

 と、伝えると緊張気味に首を縦に振っていた。

 ただキチンと誠実に対応すると、お金も払うしそれ相応の礼もすると伝えておいた。

 飴と鞭は大事である。 ただ鞭レベルはMAXだけどね。


 きちんと説明したうえで牧場を案内して貰うことに。

 退屈をさせては可哀相なので、精霊たちには牧場で自由にしていいと彼女たちも放牧することに。

 ちなみにアクアとアスナはオレと一緒。

 フレイとシルフはそれこそ放牧だ。


 牧場主と話すとこの牧場は、動物毎に柵で区切られていて、これから本日買う予定の馬の所に行くとのことだ。

 ここの牧場には馬が、五種類居るとのことで、オレたちは目的の大柄の馬の所に案内された。

 案内された先には、およそ50頭ほどの馬がのんびりと牧場内を闊歩していた。

 オレは牧場主にこの中から牡馬と牝馬の二頭欲しいと伝えると「何かリクエストはあるか?」と聞かれたので、「とりあえず前世界の知識を活用して三歳馬くらいがいい」と答えた。

 そう、クラッシックがそれくらいだから長く活躍出来そうだからだ。 目指せ三冠!


 で、牧場主がそれに該当するのは、青鹿毛の牡馬と葦毛の牝馬だった。

 この葦毛の牝馬、牝馬なのに雄大な体格と穏やかな瞳をしていたので一目で気に入った。

 牡馬も落ち着いていて気に入った。

 値段を聞いたところ牡馬と牝馬、少しオマケをして二頭で合わせて金貨110枚(550万円)でいいとのことだ。

 結構いい金額だったが、一目見て気に入ってしまったのだから仕方がない。

 えいやっとその場で現金で支払う。


 次にロバを見る。

 オレは、どうも馬でエネルギーというか情熱を使いきってしまったのでアクアとアスナにも見て貰うことに。

 結局、アクアとアスナが決めた二頭と牧場主のオススメの二頭、オスとメス二頭ずつを買う事にした。

 こちらは、四頭で金貨8枚(40万)と馬に比べるとだいぶ安かった。

 ちなみにこれはテツドウさんが出してくれた。 髪のお礼とのことだ。


 この他に、羊毛を金貨2枚分。

 チーズケーキとチーズ、ヨーグルトで金貨1枚を買った。

 で、案内してくれた牧場主とテツドウさんに、昨日大好評だった水筒をプレゼントしたところ、金貨10枚が返還された。 そして牛肉5kgも頂きアスナ様々だ。


 で、放牧していたフレイとシルフを連れて帰ることに。

 とりあえずテツドウさんに別れを告げ、アスナに頼んで二頭立ての馬車を作ることに。

 そこで気付いた。 誰も馭者が出来ないことに。


 シルフにお願いをしてミノさんところに行って貰い馭者の出来る人を連れてきて貰う事に。

 オレ? 出来んよ。 現代っ子だもん。 馬にすら乗ったことないし。

 シルフにお願いしてビュ~ンと行ってビュ~ンと戻って来て貰う。

 時間にしておよそ30分。 グロッキーなミノさん二人がそこに居ました。


 アクアにお願いして回復して貰い、馭者をお願いする。

 あとは、ロバ四頭の馬車を作り馭者をお願いする。

 まだ三時くらいだし時間的には問題ない。


 え、シルフにビュ~ンをお願いすれば問題ないかって。

 あれ、一度経験したら無理だって。

 猫姉妹なんて失禁したくらいだからね。

 ミノさんだって、もう一回やってと頼んでもウンって頷かないって。

 でも大丈夫! まだ二人しかこの怖さを知らないから。

 この二人を口止めすれば、まだまだイケル。

 性格悪いって? 我が身には変えられないし、オレたちだけ経験するのも何か不公平じゃん。

 ほら、ミノさんたちも暗い笑みを浮かべているよ。 クシシ……。


 とりあえず、体調も回復した事だしのんびりと帰ることにした。

 自分の家(塔)に着いたには、およそ四時間後。

 少し疲れたけど、温泉に入れば疲れは取れる。

 ミノさんとこにもお土産を渡したし、今日はとっとと寝よう。

 どうか明日も平穏な一日でありますようにと願いながら。

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