4月8日 私立浜丘学園始業式-9
あんな頭突きを食らわされたのにドキっとしてしまう自分が不甲斐ない。
結「あー、よろしく」
とはいったものの、誰だかわかったことでさっき出会ったときみたいな照れはもう無くなってきていた。
涼香「あっはー。こいつ照れてやんの」
結「いや、照れてないから」
無くなってきてても、どうやら周りから見たら違うらしい。これは気を付けないとな。
涼香「そーいや、お腹空いたなー」
ジーっと求めるようにこっちを見てくる。
結「わかったよ。すぐ作る」
姉さんは待ってましたと言わんばかり、わーいと小さな子供のようによろこんでいる。
真奈美「えっ?結くんが作るの?」
真奈美と一緒にいたのは小学校の頃だし、まだ料理を始めてもなかったから不思議なかおで俺を見てた。
こっちからしてみれば、今こうやって一緒にいるのが不思議なんだけどね。
涼香「うん。ずっと作ってくれてるよ」
ふふんと俺じゃなくて姉さんが自慢する。それも不思議なことだ。
結「真奈美。なに食べたい?一応食材買ってきたから、ある程度なら作れるけど」
真奈美「えっ、あたし?」
のんびりしてる真奈美がゆっくりこっちをみる。
真奈美「あたしはいいよ。これからお世話になるし」
結「いいよ、遠慮しなくても。むしろ好きな料理知ってるほうがこれからやりやすいさ」
真奈美「そう?じゃあねぇ…」
ちょっと悩んでは嬉しそうに、
真奈美「オムライス」
とゆっくり一言。俺もつられたのかわかったよと、ゆっくり言って台所にいく。
俺の部屋でゲームをしてるりんごをよそに、作り終わった料理を真奈美と並べる。
真奈美「わー。結くん料理上手なんだね」
まだ並べただけだというのに、はやくも口にだしていた。
結「まだ食べてないのに何いってんだよ」
真奈美「だって見てるだけでヨダレでちゃうし」
作ってる側からすれば嬉しいことばだ。耐えきれずにやけてしまう。嬉しくてちらっと真奈美を見ると口元がビミョーに光ってた。
結 (本当にヨダレでてたのか)
いらないことに気付いてしまったようだ。
そしていただきますをして食べ始めると、
真奈美「おいしー!」
とリスのように口一杯にオムライスをほうばって嬉しそうにたべてくれた。横の姉さんもまた俺の自慢をしながら食べていたけど、楽しく夕飯が終わった。