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あねともども!  作者: 環ちっち
姉ともども!~プロローグ~
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4月8日 私立浜丘学園始業式-3

りんご「いいかげん、アキラの家にたかるのやめたらどうなの」

軽蔑した目で実の兄をみる。

たんじ「アキラんちのパンが美味いのがいけねーんだよ」


それをきいて、アキラもまんざらでないようだ。

アキラ「おっと、それはうれしいねー。俺の分をやろう」

たんじ「わーい!」


見事にたんじを甘やかしてる。


アキラ「そーいや、りんごも今日から一緒に登校なんだな」

いまさらながらだが俺の横にいる子にきづいた。りんごはうん、と小さな声でこたえる。


たんじ「あー、そういやお前も今日から一緒なんだよな」

りんご「うっさい黙れ」

たんじ「なんだよ、この違い!!」


実兄だというのにかわいそうなやつだ。


りんご「結。死んだ魚の目をした獣がこっちを見てくるよ」

俺の背中にひょいっと隠れる。


たんじ「そいつも目が死んどるわ」


妹をとられたからかちょっと当たりがつよかった。なんだかんだで水巻家の兄妹も仲がよろしいのだ。


結局幼馴染全員が集結して学校に向かうことに。姉さんとりんごが二つ違いだから外に遊びにいったりしないと5人みんなでこうやって歩くことはない。幼馴染みんなで学校行くのは新鮮であって懐かしいものだ。


たんじ「そっかー、こうやって5人で学校行くのって中学以来か」

たんじもどうやら俺と同じ気持ちだったらしい。こんな馬鹿でもけっこう友達思いのいいやつなのだ。


アキラ「そうだな。またこの5人で学校行けるのは楽しみだな」

りんご「うん」


りんごもその言葉にはちょっとうれしそうだった。顔にあんま表情が出にくい子だけど、こういうときはわかりやすい。

姉さんもうれしそうにポニーテールを揺らしてる。


この集団全員が気分よくなったというのに、話題をあげた本人がお得意のアレをした。


たんじ「まあ、涼香さんは今年で卒業なんだけどなー」


たんじお得意の「空気よめない」。

みごとにさっきまでのほんわかムードに亀裂が走った。


全員「・・・・・・・・」


集団全員がいっせいに黙る。りんごのうれしそうな雰囲気も消えていた。たんじのたちが悪いのは間違いなく現実的な言葉だから反論やからかうことができないのだ。


たんじ「あり?みんなどーしたん?」


ちなみに本人は自覚はない。姉さんはその言葉でちょっと寂しそうな顔をしてた。後ろを歩いてたりんごがすっとたんじの横に行く。


りんご「ふん!」

たんじ「あだっ!!」


何をするかと思ったらたんじのすねを蹴っていた。しかも革靴で。

涙目のたんじがアキラの後ろに隠れる。


たんじ「つ~~~・・なんだよ!!ほんとのことだろ!!」


間違ってない。間違ってないんだが、りんごが蹴るのもよくわかる。


結「そっか・・・すぅ姉もう卒業か(ぼそ)」

涼香「ん?」

たんじ「ん?」

りんご「ん?」


結「ん?」

本音がつい言葉としてでてしまった。自分でも今の発言はまずいと思って、やばいと周りをみるとニヤニヤされてた。


りんご「ほんと結はシスコンだね」


アキラ「まったくだ」


ほほえましい目でみんなが俺をみる。


結「やめろ!そんな慈愛の目で俺をみるな!」


とても恥ずかしかった。まさかこんな風に突っ込まれるとは、大失敗だ。

たんじ「よっ!シスコン!」


たんじは肩に手をおいてきた。

結「お前の目は死んだままなんだな」

たんじ「うわーーーん!!アキラーー!!」


またアキラの背中に帰っていく。


涼香「やれやれ。まったく」


姉さんはうれしそうに俺の頭をなでてきた。


結「ちょっと、すぅ姉!」

いつもよりなでなでがやさしかった。


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